トマス・エジャートン (初代ウィルトン伯爵)

初代ウィルトン伯爵 トマス・エジャートン

初代ウィルトン伯爵トマス・エジャートン（Thomas Egerton, 1st Earl of Wilton、1749年8月14日 – 1814年9月23日）は、18世紀のイギリスにおいて政治家、そして貴族として名を残しました。彼は1772年から1784年まで庶民院議員を務め、その生涯を通して国の政治に深く関わりました。

生い立ちと初期の経歴

1749年、トマス・エジャートンは第6代準男爵サー・トマス・グレイ・エジャートンと妻キャサリンの息子として生まれました。父の死後、1756年に準男爵位を継承。ウェストミンスター・スクールで教育を受け、若くして政治の世界へと足を踏み入れます。

庶民院議員としての活動

1772年、ランカシャー選挙区の補欠選挙で無投票当選を果たし、庶民院議員となります。1774年と1780年の総選挙でも再選を果たし、議会で重要な役割を担いました。初期は野党に同調し、グレンヴィル法やジョン・ウィルクスの議会追放記録抹消に賛成しましたが、アメリカ独立戦争を巡っては政府を支持し、1778年にはマンチェスターで対米戦争のための歩兵連隊を招集するなど、積極的に活動しました。

議会では、地元ランカシャーの貿易や工業に関心を寄せ、アイルランドの自由貿易化には当初反対しました。しかし、アイルランド情勢が悪化すると、自由貿易化を黙認する姿勢へと変化しました。

貴族への道

シェルバーン伯爵内閣期には、アメリカ独立戦争の予備講和条約に反対票を投じ、ノース派の一員と見なされました。フォックス＝ノース連立内閣期には東インド法案に投票しませんでしたが、第1次小ピット内閣が成立すると、小ピットを支持する姿勢を明確にしました。1784年の総選挙には出馬せず、同年5月15日にグレートブリテン貴族であるグレイ・ド・ウィルトン男爵に叙爵されました。

その後の活動とウィルトン伯爵叙爵

1789年には、ノーサンプトンシャーの地所を売却。フランス革命戦争期には地元の志願兵連隊に関わり、1795年には隊長に任命されました。そして1801年、連合王国貴族としてウィルトン伯爵とグレイ・ド・ウィルトン子爵に叙爵されました。この爵位には特別残余権が定められ、初代伯爵の男系男子が断絶した場合、娘の次男以降の男系男子が爵位を継承できるという特別な措置が取られました。

死去とその後

1814年9月23日、トマス・エジャートンはヒートン・ハウスで生涯を閉じました。グレイ・ド・ウィルトン男爵位は廃絶となりましたが、ウィルトン伯爵位は娘イリナの次男であるトマスが継承しました。準男爵位は、初代準男爵の男系子孫が継承しました。

家族

1769年、トマス・エジャートンはイリナ・アシュトンと結婚し、2男4女をもうけましたが、成人したのは娘のイリナのみでした。

* イリナ：初代ウェストミンスター侯爵ロバート・グローヴナーと結婚し、子をもうけました。

トマス・エジャートンの生涯は、政治家、貴族としての活動を通して、当時のイギリス社会に大きな影響を与えました。彼の功績は、歴史に深く刻まれています。

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