トマス・オブ・ブラザートン (初代ノーフォーク伯)

初代ノーフォーク伯爵トマス・オブ・ブラザートン

初代ノーフォーク伯爵トマス・オブ・ブラザートン（英語: Thomas of Brotherton, 1st Earl of Norfolk、1300年6月1日 - 1338年8月4日）は、14世紀イングランドの貴族であり、イングランド王室の一員として重要な役割を果たしました。

生涯

トマスは、イングランド王エドワード1世と2番目の王妃マーガレット・オブ・フランスの間に生まれました。彼はエドワード1世の長男であり、エドワード2世にとっては異母弟にあたります。北ヨークシャーのブラザートンで生まれた彼は、1312年12月16日にノーフォーク伯爵に叙せられ、貴族としての地位を確立しました。1316年には軍務伯にも就任し、軍事面でもその能力を発揮しました。

1319年、異母兄であるエドワード2世がスコットランドへ侵攻した際には、トマスはイングランドの留守を預かる摂政という重責を担いました。しかし、1326年に王妃イザベラがクーデターを起こすと、彼はイザベラを支持する側に回りました。この決断は、当時の政治情勢を複雑に物語っています。

エドワード3世の治世下でも、トマスは自身の地位を維持しましたが、1338年8月に亡くなりました。彼の死後、爵位は長女のマーガレットが継承しました。マーガレットは後にノーフォーク女公爵に叙せられ、その血筋はさらに繁栄しました。

また、トマスはイザベラとその愛人モーティマーを中心とする宮廷派に対して、第3代ランカスター伯ヘンリー、初代ケント伯エドマンド・オブ・ウッドストックらと共に反対勢力として活動しました。これは、当時の政治的な対立構造を示す重要なポイントです。

家族

トマスは、1316年から1320年の間に、サー・ロジャー・ヘイルズの娘であるアリスと結婚し、3人の子供を儲けました。

長男：エドワード・オブ・ノーフォーク（1320年頃 - 1334年以前） - 夭折
長女：マーガレット（1320年頃 - 1399年） - 2代ノーフォーク女伯爵位を継承し、後にノーフォーク女公爵に叙されました。彼女は、はじめに第4代セグレイヴ男爵ジョン・セグレイヴと、次に初代マニー男爵ウォルター・マニーと結婚しました。
次女：アリス・オブ・ノーフォーク（1324年 - 1351年） - 初代モンタギュー男爵エドワード・モンタギューと結婚しました。

1328年頃には、ピーター・ド・ブローズの娘であるメアリーと再婚しましたが、彼女との間には子供は生まれませんでした。

まとめ

初代ノーフォーク伯爵トマス・オブ・ブラザートンは、イングランド王室の一員として、また貴族として、激動の時代を生き抜きました。彼の生涯は、当時の政治情勢や王室内の権力闘争を反映しており、歴史を考察する上で貴重な情報源となります。彼の血筋は、娘マーガレットを通じて後世に受け継がれ、ノーフォーク公爵家としての繁栄を築きました。

参考文献

森護『英国王室史話』大修館書店、1986年(昭和61年)。ISBN 978-4469240900
森護『英国王室史事典-Historical encyclopaedia of Royal Britain-』大修館書店、1994年。ISBN 978-4469012408
Richardson, Douglas (2011). Everingham, Kimball G.. ed. Plantagenet Ancestry: A Study in Colonial and Medieval Families. II (2nd ed.). Salt Lake City. ISBN 1449966349
* Richardson, Douglas (2011). Everingham, Kimball G.. ed. Magna Carta Ancestry: A Study in Colonial and Medieval Families. IV (2nd ed.). Salt Lake City. ISBN 1460992709

もう一度検索