トマス・ハワード (第3代ノーフォーク公)

第3代ノーフォーク公爵トマス・ハワードの生涯

トマス・ハワード（1473年 - 1554年）は、イングランドの貴族であり、第3代ノーフォーク公爵として名を馳せました。彼は第2代ノーフォーク公トマス・ハワードとエリザベス夫妻の長男として生まれ、歴史的な運命に握られた人生を送りました。彼の生涯は数々の戦闘や政治的陰謀、そして家族の悲劇で彩られています。

初期の人生

トマスは1473年に誕生しました。彼の祖父ジョン・ハワードはリチャード3世に仕え、公位を授与されましたが、ボズワースの戦いで戦死しました。その後、彼の父は監禁されたことから、ハワード家は一時的に権力を失いました。1489年に釈放された父は、婚姻戦略を駆使して勢力を復活させました。1495年、トマスはヘンリー7世の義妹であるアン王女と結婚しましたが、子供は夭折し、妻も1511年に亡くなりました。

戦の英雄

1513年、スコットランド軍がイングランドに侵攻した際、トマスは父と共にイングランド軍を指揮し、スコットランド王ジェームズ4世を撃破する大勝利を収めました。この戦功により、ヘンリー8世の信任を獲得し、彼はイングランドにおける重要な立場を確保しました。1524年にはノーフォーク公位を継承し、アイルランド総督や海軍卿、大蔵卿などの官職を歴任し、多くの権力を握りました。

姪たちと王室への影響

トマスは姪のアン・ブーリンとキャサリン・ハワードをイングランドの王妃に推挙しました。特にアンは1529年にヘンリー8世の妻として昇進しますが、彼女の運命は悲劇的でした。トマスはヘンリー8世とアンの結婚を推進し、ローマ教皇への圧力などを通じてサポートしたものの、彼女は1536年に姦通罪で処刑されてしまいます。トマスはこの裁判の裁判長を務めましたが、自身の保身を優先し、姪に対しては情けを見せませんでした。

権力の失墜と復権

トマスの政治的な力は次第に減少し、ヘンリー8世の信任を失い、1546年にはロンドン塔に投獄されました。しかし、1553年にメアリー1世が即位した際に釈放され、ノーフォーク公位の復権も認められました。彼はメアリー1世の信任を受け、次第に戻りつつあった権力と影響力を再構築していきました。1554年8月にサフォークのフラムリンガム城で死去します。

家族と爵位

トマスは1495年にアン王女と結婚し、彼との間に長男を儲けましたが、夭折してしまいました。再婚相手はバッキンガム公エドワード・スタッフォードの娘エリザベスで、彼との間に2男2女をもうけています。彼の家族は、イングランドの王室と深く結びつきながら、政治的な波に翻弄された歴史を持つこととなります。

トマス・ハワードの生涯は、戦争と政治の闘争、そして家族の悲劇の連鎖を経て、最終的にはイングランドの歴史に強く刻まれました。彼の子孫たちもまた、イングランドの歴史を影響する存在として生き続けることになります。

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