トマス・パーカー (初代マクルズフィールド伯爵)

初代マクルズフィールド伯爵 トマス・パーカー

初代マクルズフィールド伯爵トマス・パーカー（1666年7月23日 - 1732年4月26日）は、18世紀初頭のイングランドで活躍したホイッグ党の政治家です。法曹界から政界に進出し、大法官などの要職を歴任しましたが、晩年には金銭上の不祥事で弾劾されるという波乱万丈な生涯を送りました。

生い立ちと初期のキャリア

パーカーは、スタッフォードシャー州リークで弁護士の息子として生まれました。アダムズ・グラマースクールとケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで教育を受け、法曹界に進みます。1691年に法曹資格を取得し、1705年には下院議員に選出され、ナイトの称号を授与されました。1710年には大法官への就任を拒否したものの、枢密院議員に任命され、政治家としての地位を確立していきました。

1710年から1718年まで王座部首席判事を務め、ヘンリー・サシェヴェレルに対する告発に関与しました。サシェヴェレルは高教会派の聖職者であり、パーカーは彼を激しく攻撃しました。また、1720年代に議論を呼んだ風刺的な著作『蜂の寓話』で知られるバーナード・デ・マンデヴィルの友人でもありました。パーカーは、1712年に王立協会のフェローに選出されています。また、出身地であるリークにグラマースクールを創設するなど、地域社会への貢献も行いました。1714年には、マクルズフィールドのパーカー男爵に叙爵され、貴族の仲間入りを果たしました。

グレートブリテンおよびアイルランド摂政

1714年8月1日にアン女王が崩御し、後継者であるハノーファー選帝侯ゲオルク1世（後のジョージ1世）がハノーファーに滞在していたため、パーカーはゲオルク1世がイギリスに到着するまでの間、グレートブリテンおよびアイルランド、そして海外領土の摂政に指名されました。摂政期間は9月18日まで続きました。1718年には、英語を話せなかったジョージ1世に代わって、貴族院で国王演説を行いました。

大法官と弾劾

1718年、パーカーは大法官に任命され、終身年金を与えられました。ジョージ1世のお気に入りとして重用され、1721年にはマクルズフィールド伯爵とパーカー子爵に叙爵されました。しかし、1724年に金銭上の不正に関与している疑惑が浮上し、1725年に弾劾裁判にかけられることになります。貴族院での裁判の結果、パーカーは総額10万ポンド（現在の約1100万ポンドに相当）以上の賄賂を受け取っていたと認定されました。その結果、3万ポンドの罰金が課せられ、支払いが完了するまでロンドン塔に収監されました。また、枢密院議員の職も解かれました。パーカーは莫大な財産を持っていましたが、不正蓄財が没収されたため、罰金を支払うことができませんでした。その後は、オックスフォードシャー州シャーバーンのシャーバーン城で余生を過ごしました。

失脚後の1727年、パーカーはアイザック・ニュートンの葬儀で棺側付き添い人を務めることができました。1732年にロンドンのソーホー・スクエアで亡くなり、シャーバーンに埋葬されました。

トマス・パーカーは、その才能と政治手腕で急速に政界での地位を確立しましたが、晩年の金銭問題によってその名声に傷をつけました。彼の生涯は、18世紀初頭のイギリス政治の光と影を映し出すものと言えるでしょう。

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