トム君空を飛ぶ

トム君空を飛ぶ：空飛ぶ猫の珍道中

1952年1月12日に公開された『トム君空を飛ぶ』(原題:The Flying Cat)は、人気アニメシリーズ『トムとジェリー』の短編作品の一つです。ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラが監督を務め、フレッド・クインビーが製作を担当しました。軽快な音楽はスコット・ブラッドリーが手掛けています。

物語は、トムが鳥かごの中のカナリアを狙うことから始まります。しかし、機敏なジェリーはカナリアと共に、庭の中央に設置された高い鳥小屋へと逃げ込みます。トムは様々な手段を使って2匹を捕まえようとしますが、ジェリーのいたずらとカナリアの策略によってことごとく失敗します。

例えば、棒高跳びのように小屋に飛び込もうとしたトムは、カナリアが仕掛けたローラースケートに足を引っ掛けて、勢い余って家の2階を突き破り、窓から外へ飛び出します。さらに、コルセットに引っかかりながら落下するという、ドタバタ劇を繰り広げます。

しかし、この出来事がトムにとって予想外の幸運をもたらします。落下中に破れたコルセットが、まるでコウモリの翼のように体に付着したのです。トムは驚きながらも、自分が空を飛べることに気づきます。

新たに得た飛行能力を駆使して、トムは再びカナリアとジェリーを捕まえようとします。「空飛ぶ猫」の出現に驚いた2匹は、必死に逃げ回ります。空を舞台にした追いかけっこは、線路へと続きます。そして、運命の悪戯か、トムは通りかかった電車に激突してしまいます。一方、ジェリーとカナリアは電車の後ろに飛び乗り、難を逃れると共に、友情を深めるのでした。

この作品では、トム、ジェリー、そしてカナリアの3キャラクターがそれぞれ個性を発揮します。トムはカナリアを捕まえようとしますが、ジェリーとカナリアの巧妙な罠にはまり、空を飛べるようになるも、最後は失敗に終わります。ジェリーは、持ち前の機転とカナリアとの協力でトムを翻弄します。そしてカナリアは、トムから逃れるため、そしてジェリーと協力してトムを出し抜くために、重要な役割を果たします。

『トム君空を飛ぶ』は、予想外の展開とコミカルなアクション、そしてキャラクターたちの魅力的なやり取りが詰まった、まさに『トムとジェリー』らしい作品と言えるでしょう。特に、トムが空を飛ぶという奇想天外な展開は、子供たちだけでなく大人も楽しませる要素となっています。また、作中では「華麗なる大円舞曲」といった楽曲も使用されており、アニメーションの雰囲気をさらに盛り上げています。この短編アニメーションは、何度見ても楽しめる、まさに名作と言えるでしょう。

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