トヨタ・ターセル

トヨタ・ターセル（TERCEL）

トヨタ・ターセル（TERCEL）は、トヨタ自動車が1978年から1999年まで製造・販売していた小型乗用車で、初の前輪駆動車として登場しました。ターセルは、姉妹車であるコルサやカローラIIと共に、国内外で販売されました。特に北米では『カローラターセル』として知られ、エコノミーセダンとして多くの支持を集めました。

歴史と特徴

ターセルは、初代が1978年に発売され、その斬新な前輪駆動の縦置きエンジン搭載方式が特徴的です。エンジンを縦に配置することで、従来の後輪駆動車に近い整備性を保ちながら、より効率的なパフォーマンスを実現しました。駆動系は、トランスミッションからの出力を前方へ反転させ、デフで分配するユニークな設計が施されていました。この技術は当初の排気規制に対応するためでもあり、多くのライバル車に対抗する力を支えました。

ターセルの初代は、2ドアと4ドアセダンおよび3ドアハッチバックのボディタイプを持ち、1979年には新たにエンジンタイプを増設。特に、広告戦略では山口百恵を起用したことで注目を集め、販売促進に繋がりました。1980年代にはターセルとコルサの共演CMなどが放送され、ターセルの知名度向上に貢献しました。

2代目は1982年に登場し、初代のデザインを踏襲しつつ改良が加えられました。特にホイールベースは短くなり、操作性が向上しました。この時期、ターセルはビスタ店専売モデルとなり、特に女性向けの「キューティ」モデルが設定されるなど、多様性も増しました。

3代目は1986年にリリースされ、再びハッチバックとセダンがラインアップに加わりました。エンジンも横置きに変更され、小型でありながらパフォーマンスにも優れた車両となりました。特別仕様車や廉価モデルも登場し、消費者に対するアプローチが増えました。

4代目は1990年に発表され、特に内外装の品質が向上し、四輪駆動仕様も追加されました。このモデルは一時人気を博しましたが、マーケットの変化により徐々に存在感が薄くなっていきました。

ターセルの最終モデルである5代目は1994年に登場し、機能やデザインを一新しました。エンジンはより効率的な仕様に統一され、衝突安全性が高まるなど、小型車としての需要に応えました。しかし、1999年に販売を終了し、ターセルは20年の歴史に幕を閉じました。

車名の由来

ターセルという名前は、英語で「ハヤブサ」という意味を持つことから来ています。これは力強さや迅速性を表現するための選択であり、このモデルが持つ特性を象徴しています。

結論

ターセルは、その独特な設計と多様なモデル展開により、日本国内外で人気を集めた小型車です。トヨタ自動車にとって、ターセルは新たな前輪駆動の基盤とも言える存在でしたが、時代の流れとともにその役目を終え、後継車両として新たなモデルに引き継がれました。ターセルの存在は、今も多くの自動車ファンの記憶に残っています。

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