トヨタ・ハイメディック

トヨタ・ハイメディック：救命を支える高規格救急車の進化

トヨタ・ハイメディックは、1992年の誕生以来、日本の救急医療を支え続けてきた高規格救急車です。トヨタ自動車が、救急救命士のニーズに応えるべく開発し、以来、進化を重ねてきました。

初代（1992年 - 1997年）：国産初の高規格救急車

1992年5月、救急救命士法施行の翌年に、国産自動車メーカーとして初めて高規格救急車「トヨタ救急車・ハイメディック」が発売されました。ハイエーススーパーロングをベースに、車体幅を115mm拡大。初代セルシオ用のV型8気筒4.0リッターエンジン1UZ-FEを搭載し、電子制御サスペンションTEMSも装備するなど、走行性能も重視されました。

初期モデルはトヨタ救急車（2B型）の改造車扱いでしたが、1993年のマイナーチェンジで型式認定を取得。1994年にはフルタイム4WD車が追加され、悪路走破性も向上しました。初代モデルは、フェイスリフトが行われることなく、1997年に2代目へとモデルチェンジしました。

2代目（1997年 - 2006年）：欧州仕様ハイエースをベースに安全性を向上

2代目ハイメディックは、欧州の衝突安全基準を満たすため、セミキャブオーバー化された欧州仕様ハイエースロングボディをベースに開発されました。初代から継承されたルーフ内蔵式赤色灯が特徴的です。4WS（四輪操舵）が装備され、狭い路地での取り回し性能が向上しました。

1999年には、イージークローザーをバックドアとスライドドアに設定。2002年のマイナーチェンジでは、救急車として初めて良-低排出ガス車の認定を受けました。2004年には、高輝度LED式赤色点滅灯がオプション設定されるなど、安全性と環境性能が向上しました。

3代目（2006年 - 現在）：両側スライドドアを採用し、居住性を向上

2006年に登場した3代目ハイメディックは、ハイエースの輸出用200系をベースに、初代と同様のキャブオーバースタイルを採用しました。両側スライドドアを救急車として初めて装備し、救助器具や酸素ボンベなどの収納スペースを確保。患者室の居住性が向上しました。

環境性能にも配慮し、「国土交通大臣認定平成17年基準排出ガス50%低減レベル車」を取得。安全面では、ステアリング&ブレーキペダル後退低減機構やWILコンセプトシートを採用しています。2019年には、活動状況に応じて点灯モードが変化するアクティビーコンがオプション設定されました。

グランツーリスモ7に登場

2023年8月には、レースゲーム「グランツーリスモ7」に2021年モデルが登場し、話題となりました。

車名の由来と製造・販売

車名の「ハイメディック」は、ベース車両であるハイエースの「ハイ」と、救急救命士を意味する「パラメディック」を組み合わせた造語です。艤装はトヨタカスタマイジング&ディベロップメント（TCD）が担当し、製造は岐阜車体工業などが行っています。販売は、トヨタ店を中心に行われています。

ハイメディックは、これからも進化を続け、救命救急の最前線を支え続けていくことでしょう。

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