トヨタ・パッソセッテ

トヨタ・パッソセッテ：7人乗りコンパクトミニバンの挑戦

2008年から2012年まで販売されていたトヨタ・パッソセッテは、ダイハツ工業が製造し、トヨタが販売した小型ミニバンです。ダイハツ・ブーンルミナスと姉妹車という関係で、通称「セッテ」と呼ばれていました。

開発コンセプトとターゲット

「広くて、使いやすい、7シーター スタイリッシュ コンパクト」をコンセプトに開発されました。5人乗りが基本で、必要に応じて7人乗車を可能にするサイズ感が特徴です。特に30～40代の子育て女性をメインターゲットとしており、CMには人気ファッションモデルを起用するなど、ターゲット層への訴求を意識したマーケティングが展開されました。CMコピーである「私たち、主婦で、ママで、女です。」は、当時の女性の共感を呼びました。

デザインと機能性

パッソをベースに開発されましたが、全長、全幅、全高、ホイールベースを拡大し、7人乗りにふさわしい広々とした室内空間を実現しています。低く構えたワンモーションフォルムの外観は、スタイリッシュさを演出しています。インテリアは開放感を重視したデザインで、シートアレンジも工夫されており、使い勝手の良さを追求していました。

シート表皮はグレードによって異なり、グレージュのジャージ生地やトリコット、ダークブラウンのジャージ生地などが採用されていました。2列目は5：5分割でスライド調整が可能で、3列目はコンパクトながら7人乗車に対応できる設計です。2列目と3列目のシートを倒せば、広い荷室空間を確保できます。

安全面では、GOAボディ、ABS、デュアルSRSエアバッグなどを標準装備。さらに、サイド&カーテンシールドエアバッグ（一部グレードを除く）、VSC&TRC（メーカーオプション）なども用意され、安全性能の向上に努めていました。

エンジンとトランスミッション

エンジンは1.5Lの直列4気筒DOHCエンジンを搭載。車重増加に対応するため、余裕のある動力性能を実現しています。トランスミッションは電子制御4速ATで、マニュアル感覚の操作が可能なシーケンシャルシフトマチックを採用していました。パッソにはないタコメーターも全車標準装備でした。登坂制御機能も搭載し、坂道での運転を快適にする工夫も凝らされていました。

販売戦略と結果

販売価格を抑え、競合車種であるホンダ・フリードよりも安価に設定することで、価格競争力に強みを持っていました。しかし、エコカー減税の対象外であったことや、スライドドアではない点などが販売に影響を与えたと考えられます。販売期間は約3年3ヶ月と短期間に終わり、販売台数は目標に届かず、トヨタにおける短命な7人乗りミニバンとなってしまいました。

車名の由来

車名の「セッテ」は、イタリア語で「7」を意味する「Sette」に由来しています。7人乗りであることを明確に示すネーミングとなっています。

まとめ

パッソセッテは、コンパクトなボディに7人乗りを実現した、挑戦的なミニバンでした。短命に終わったものの、そのコンセプトやデザインは、多くのユーザーの記憶に刻まれていると言えるでしょう。 販売台数には届きませんでしたが、子育て世代のニーズに応えようとした姿勢は評価に値するでしょう。この車種の登場は、今後のコンパクトミニバンの開発において重要な教訓となったはずです。

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