トヨタ・パッソ

トヨタ・パッソ：コンパクトカーの系譜

トヨタ・パッソは、トヨタ自動車が販売し、ダイハツ工業が開発・生産を担当したコンパクトカーです。初代モデルは2004年に発売され、2023年10月に販売が終了するまで、3世代にわたって進化を続けました。その歴史と特徴を詳しく見ていきましょう。

1. 初代パッソ（AC10型、2004年-2010年）

初代パッソは、トヨタ最小の乗用車として登場しました。ヴィッツよりも短い全長ながら、広い室内空間を実現。最小回転半径4.3mの取り回しやすさも魅力でした。コラムシフトや足踏み式パーキングブレーキを採用することで、運転席と助手席間に収納スペースを確保するなど、女性ユーザーを意識した設計が特徴です。

エンジンはダイハツ製の1KR-FE型（1.0L）とK3-VE型（1.3L）の2種類が設定され、トランスミッションは4速ATのみでした。スポーティーな「Racy」グレードや、様々な特別仕様車も設定され、幅広いユーザー層に対応しました。発売当初は高い人気を博し、月販目標を大きく上回る受注台数を記録しました。その後も、燃費向上や安全装備の追加など、継続的な改良が施されました。

2. 2代目パッソ（AC30型、2010年-2016年）

約5年半ぶりにフルモデルチェンジされた2代目パッソは、商品企画段階から女性スタッフが中心となり、女性目線でのクルマ造りが徹底されました。初代とほぼ同じプラットフォームとホイールベースを採用しながらも、シンプルで親しみやすいデザインに刷新されました。

「パッソ」と上質感のある「パッソ+Hana」の2タイプが設定され、ボディカラーや内装色にも、親しみやすいネーミングやカラーバリエーションが採用されています。視界の改善や、運転のしやすさを考慮した装備の充実も図られました。エンジンは1.0Lの1KR-FE型と、新たに1.3Lの1NR-FE型が設定され、全グレードでCVTを採用することで燃費が向上しました。安全装備としてVSC＆TRCも設定されました。

発売後も、燃費向上のための自主改修や、特別仕様車の追加、マイナーチェンジによる改良が行われ、継続的な人気を維持しました。CMキャラクターには、仲里依紗や森三中、水川あさみ、妻夫木聡などが起用されました。

3. 3代目パッソ（M700A型、2016年-2023年）

3代目パッソは、「街乗りスマートコンパクト」をコンセプトに開発されました。この世代から、ダイハツ工業が一貫して開発から生産までを担当するようになり、ダイハツ・ブーンのOEMとなりました。そのため、両車の違いはエンブレムやグレード名称程度となりました。1.3L車が廃止され、1.0Lエンジンのみの設定となりました。

グレードは「X」と「MODA」の2種類が設定され、「MODA」はよりスポーティーなデザインと装備が特徴です。安全装備として、トヨタ車で初めて「スマートアシストII」が搭載されました。その後、「スマートアシストIII」へと進化し、安全性能が更に向上しました。

発売後も、マイナーチェンジや特別仕様車の追加、一部改良などを通じて、安全性能・燃費性能の向上、デザインの変更が繰り返されました。CMキャラクターには、マツコ・デラックスなどが起用されました。最終的にはヤリス1.0Lモデルおよびルーミーに統合され、2023年10月に販売が終了しました。

販売チャネル

パッソは、トヨタカローラ店で販売されていました。2019年4月以降は、東京都内の全販売店で販売されるようになりました。

まとめ

パッソは、長年にわたりトヨタのコンパクトカー市場を支えた重要なモデルでした。女性ユーザーを意識したデザインや、優れた燃費性能、そして充実した安全装備は、多くのユーザーから支持されました。その歴史は、トヨタとダイハツの協力体制や、時代の変化に対応した進化を物語っています。

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