ダイハツ・ブーン

ダイハツ ブーン：コンパクトカーの歴史

概要

ダイハツ工業が国内向けに生産・販売していたハッチバック型コンパクトカー「ブーン」。トヨタ自動車との共同開発によるモデルで、初代と2代目はトヨタ「パッソ」と姉妹車として販売されました。3代目では、パッソがブーンのOEM車種となりました。海外では「ダイハツ・シリオン」として、マレーシアではプロドゥア「マイヴィ」として販売されるなど、グローバルな展開も特徴です。


初代ブーン (M300S/M310S/M301S/M312S型、2004年 - 2010年)

初代ブーンは、1.0Lと1.3Lの自然吸気エンジンを搭載。スポーティな「カスタム」グレードや、モータースポーツ参戦を視野に入れた高性能エンジン搭載の「X4」グレードも存在しました。トランスミッションは4速ATが中心で、X4のみ5速MTを搭載。海外向けには5MTの設定もありました。スバル「ジャスティ」へのOEM供給も行われました。


初代ブーンの開発と販売

2004年6月：販売開始。
2004年9月：福祉車両「ブーン フロントシートリフト」を追加。
2004年12月：「カスタム」グレードを追加。
2005年5月：特別仕様車「セレクション」を発売。
2005年12月：一部改良を実施。キーフリーシステムの防水化など。
2006年3月：「X4」グレードを追加。
2006年6月：特別仕様車「リミテッド」を発売。
2006年12月：マイナーチェンジ。グレード体系の整理、燃費向上などを実施。
2008年11月：仕様変更。ボディカラーを追加。
2008年12月：7人乗りモデル「ブーンルミナス」を発売。
2009年12月：「X4」グレードの販売終了。
2010年1月：生産終了。


2代目ブーン (M600S/M610S/M601S型、2010年 - 2016年)

フルモデルチェンジで登場した2代目ブーンは、シンプルで上質なデザインと使い勝手の良さを追求。初代に比べて全長は若干拡大されたものの、全幅は据え置きとされました。エンジンは1.0Lの1KR-FE型と、新型1.3Lの1NR-FE型を搭載。トランスミッションは全グレードCVTとなりました。燃費性能の大幅な向上が図られました。


2代目ブーンの開発と販売

2010年2月：フルモデルチェンジで発売。
2010年5月：エンジンストールの可能性があるとしてリコールを実施。
2012年6月：一部改良。アイドリングストップシステム「eco IDLE」搭載、燃費向上など。
2014年4月：マイナーチェンジ。燃費性能向上、安全装備の強化など。
2016年3月：生産終了。


3代目ブーン (M700S/M710S型、2016年 - 2023年)

3代目ブーンは、ホイールベースを拡大し、後部座席の居住空間を向上。軽量高剛性ボディ「Dモノコック」や、剛性向上を図ったサスペンション「Dサスペンション」を採用しました。上級グレード「CILQ」は専用デザインが施され、内外装の質感も向上。安全装備も強化され、「スマートアシストII」や「スマートアシストIII」といった運転支援システムが搭載されました。


3代目ブーンの開発と販売

2016年4月：フルモデルチェンジで発売。
2017年10月：上級グレード「CILQ」にアクセサリーパッケージを設定。
2018年7月：上級グレード「CILQ」に「D-tune edition」を追加。
2018年10月：マイナーチェンジ。「スマートアシストIII」搭載など。
2019年10月：特別仕様車「STYLE」を発売。
2021年4月：一部改良を実施。
2023年10月：トヨタ・パッソの販売終了。
* 2023年12月：生産終了、販売終了。


車名の由来

ブーンという車名は、英語で「愉快な」という意味と、車の走行音の擬声語を掛け合わせています。家族で楽しめる、毎日を楽しくする車という願いが込められています。上級グレード「CILQ」は、Compact、Impressive、Lovely、Qualityの頭文字から取られています。


派生車種

初代ブーンから派生した車種には、「ブーンルミナス」や、OEM供給先のトヨタ「パッソセッテ」などがあります。3代目ブーンは、ダイハツ「トール」、トヨタ「ルーミー」「タンク」、スバル「ジャスティ」とプラットフォームを共有しています。


まとめ

ダイハツ「ブーン」は、トヨタとの協業によって進化を遂げてきたコンパクトカーです。燃費性能や安全性能、デザイン性など、時代のニーズに合わせて改良を重ね、多くのユーザーに親しまれてきました。その歴史は、日本のコンパクトカー市場の変遷を反映していると言えるでしょう。

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