トヨタ・プリウスα

プリウスα（PRIUS α）

プリウスαは、トヨタ自動車が製造・販売したハイブリッド専用のステーションワゴンです。この車両は、愛知県豊田市にある堤工場で生産されました。開発主査は後に2代目シエンタやジャパンタクシーの設計にも関わった粥川宏氏であり、彼の設計理念が反映されています。

概要

プリウスαは、プリウス（3代目・ZVW30型）と同様の「新MCプラットフォーム」を採用しており、ホイールベースが80 mm延長されて2780 mmになっています。エンジンやモーター、サスペンションにおいては基本的なメカニズムは変更されていませんが、増加した車両重量に対応するために、フロントトレッドおよびリアトレッドがそれぞれ15 mmと25 mm拡大されました。

さらに、ハイブリッドシステムのモーター冷却には水冷式を採用し、パフォーマンス向上のために最終減速比が3.26から3.704に変更されています。このことにより、駆動力の不足を補っています。プリウスαは、5人乗りの2列シート仕様と、7人乗りの3列シート仕様があり、後者は日本国内のみで販売されています。5人乗りは、荷室前方下部にニッケル水素電池が搭載され、7人乗りではセンターコンソール下部にリチウムイオン電池が設置されています。リチウムイオン電池の採用により、小型軽量化が図られ、5人乗りと7人乗りの重量差はわずか10 kgにとどまります。

内装と機能

インテリアでは、シフトレバーを小型化してステアリングサイドに移動させました。7人乗り仕様においては、使い勝手を重視したウォークイン機構やワンタッチチルトダウン機能が採用されています。また、エアコンパネルも大型ダイヤルを使った設計で、操作性が向上しています。なお、プリウスの本皮革シートはプリウスαでは採用されていません。

応急用タイヤはオプションになっており、すべての車両にはパンク修理キットが標準装備されています。Gグレードでは、衝突被害軽減ブレーキをオプションで装備可能で、樹脂製パノラマルーフもオプションとして選択可能です。このルーフは軽量化されており、ガラスの40%軽量を実現しています。ただし、樹脂パノラマルーフの設定車ではソーラーパネル付きムーンルーフは装着できません。

安全対策

ハイブリッドカーには低速時に歩行者に気付かれにくいという弱点がありますが、全車に標準装備される「車両接近通報装置」により解決されています。この装置は発進から車速約25 km/hまでのEVモードや後退時に音を発し、周囲の歩行者に接近を知らせます。

サイズとグレード

プリウスαの全高は1575 mmであり、機械式立体駐車場の高さ制限に注意が必要です。また、グレードは大きく「S」と「G」の2つに分かれ、それぞれにオプションパッケージや装備の簡略化が用意されています。

具体的には、法人需要を見込んだベーシックモデルの「S L selection」や、スタンダードな「S」、上級仕様の「G」、さらに走行性能を強化した「TOURING Selection」など多様な選択肢があります。特に「GR SPORT」は、自社開発のチューニングブランドによるスポーツモデルとして注目を集めています。

海外市場

プリウスαは海外市場でも様々な名前で展開されています。台湾では「プリウスα」、北米市場では「プリウスv」、「プラス」は欧州市場での呼称です。市場によって仕様や特長が異なり、顧客のニーズに応えています。

年表

プリウスαは2011年に発表され、2012年には新しいグレードが追加され、2013年からはダイハツ工業へOEM供給されるようになりました。2014年11月にはマイナーチェンジを実施し、さらなる機能性向上が図られました。

最終的に、2021年に生産を終了し、公式ウェブサイトも削除されましたが、プリウスは引き続き人気モデルであり、その後はカローラツーリングが5人乗りステーションワゴンのポジションを引き継ぎました。

車名の由来

「PRIUS」はラテン語で「- に先立って」、その「α」は「空間や使い勝手にプラスアルファの価値を加える」という意味を持っています。海外では「v」は「Versatility（多様性）」、そして「+」は「さらに良いもの」などの意が込められています。

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