トヨタ・メガクルーザー

メガクルーザー：知られざるトヨタの異端児

メガクルーザーは、1996年から2001年にかけてトヨタ自動車が生産した異色の多目的車です。陸上自衛隊向けに開発された高機動車の技術を民生用に転用したモデルで、その圧倒的な存在感から「和製ハマー」とも呼ばれました。

特徴

規格外のサイズ: 全幅2,170 mmは、商用車を除く国産車としては最大級。その巨体は、街中での取り回しを困難にするほどでした。
卓越した悪路走破性: ハブリダクション、デフロック、オプションのタイヤ空気圧調整機能など、本格的なオフロード走行を可能とする装備が満載。災害派遣や人命救助など、過酷な環境下での使用を想定した設計です。
独特なメカニズム: リア4WS（逆位相）を採用し、巨体ながら最小回転半径5.6 mを実現。インボードディスクブレーキや縦置きトーションバースプリングを用いた4輪独立懸架など、特徴的なメカニズムが多数採用されています。

詳細

メガクルーザーは、その外観からもわかるように、一般的なSUVとは一線を画す存在です。開発の主眼は、快適性や豪華さではなく、あくまでも悪路走破性と耐久性に置かれていました。そのため、内装は必要最低限の装備に留まり、タコメーターすら装備されていません。

しかし、その一方で、ハブリダクションによる高い最低地上高、デフロック機構、タイヤ空気圧調整機能など、悪路走破性を高めるための装備は惜しみなく投入されています。これらの装備により、メガクルーザーは、通常の車両では走行困難な場所でも、難なく走破することができました。

活躍の場

発売当初は、物珍しさから一般ユーザーや企業の広告塔として購入されるケースも見られましたが、その高い性能が評価され、JAFや消防、地方公共団体などが主なユーザーとなっていきました。特に、災害発生時には、その悪路走破性を活かして、人命救助や物資輸送に貢献しました。

岐阜県警察には「災害用高性能機動力車両」として配備され、災害現場での活動を支援しています。

生産終了とその後

メガクルーザーは、2001年に生産を終了しました。販売期間中の累計販売台数はわずか133台と、非常に少ないものでした。しかし、その独特な存在感と卓越した悪路走破性は、現在でも多くのファンを魅了し続けています。

高機動車のシャシーは、ホイールベースを変更して、スーパーダイナやコースター4WDにも使われていました。

メガクルーザーは、トヨタ自動車が技術力を結集して開発した、まさに「異端児」と呼ぶにふさわしい一台でした。その存在は、日本の自動車史に、特異な足跡を残しています。

スペック

全長: 5,090 mm
全幅: 2,170 mm
全高: 2,075 mm
車両重量: 2,850 kg
エンジン: 4.1L 直4 ディーゼルターボ
* 駆動方式: フルタイム4WD

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