トヨタ・1600GT

トヨタ 1600GTの概要

トヨタ自動車が1967年に発売した1600GTは、型式名RT55で知られるハードトップ型乗用車です。この車両は、トヨタ2000GTの弟分とも位置付けられるモデルで、特にそのデザインと性能が目を引きます。一般に「コロG」（コロナGT）と呼ばれることもありますが、これは正式な名称ではありません。

特徴

1600GTのボディは、トヨタの3代目コロナ2ドアハードトップ（コロナ1600S、後期型ボディ）を基にしており、補強が施されています。また、サスペンションやブレーキも強化され、より高い操縦性を実現しています。フロントフェンダーにはエアアウトレットが追加され、コロナと比べるとフェンダーアーチはやや大きめに設計されています。このデザインにより、見た目の迫力と空力特性も向上しています。

エンブレムには、トヨタ2000GTに似た逆三角形の七宝焼きが施され、スタイルにアクセントを与えています。色彩面では、コロナには見られない鮮やかな黄色がイメージカラーとなっており、その他にも白、赤、銀などの色が用意されています。

エンジンと性能

搭載されるエンジンは、コロナ1600S用のOHVツインキャブ「4R」型シリンダーブロックに、ヤマハ発動機がアルミニウム合金製のDOHCヘッドを換装した「9R」型です。このエンジンは、JISグロス値で最高出力110馬力を発揮します。トランスミッションには4速MTの「GT4」と5速MTの「GT5」が併売されており、それぞれ96万円と100万円が設定されています。

また、フロントシートや「GT5」のミッションは、トヨタ2000GTのものが流用され、ステアリングホイールはデザインは同じながらプラスチック製となっています。

生産と販売

1600GTは、発売からわずか1年で2222台が生産・販売され、その後生産が終了しました。このモデルに続く系列的な後継車種は、コロナマークIIの高性能仕様『1900GSS』です。

前史

トヨタ1600GTの前身は、1966年3月に開催された第4回クラブマンレースに登場したプロトタイプモデルです。このモデルは、3代目コロナの前期型ハードトップを基に製作されたもので、初参戦ながら見事な成績を収めました。1967年7月には鈴鹿12時間耐久レースにも出場し、優秀な成績で1位、2位を独占しました。

1600GTは、その後も数々のレースで活躍し、他メーカーの競合車を打ち破るなど高い競争力を示しました。1968年の日本グランプリでは、当時の王者・日産・スカイライン2000GT-Bを破る好成績を残し、約3年間にわたりツーリングカーレースを席巻しました。

1969年にはJAFグランプリに初参戦した日産・スカイラインGT-Rと直接対決し、予選ではGT-R勢に上位を独占されたものの、決勝ではトヨタ側が逆転の機会を迎え、最終的には3位（クラス1位）に入賞しました。しかし、ドライバーの高橋晴邦が走路妨害でペナルティを受けることになり、1600GTとしてのワークス参加はこのレースをもって終了しました。

まとめ

トヨタ1600GTは、そのコンパクトなボディと高性能エンジンにより、1950年代から1960年代の日本の自動車シーンにおいて重要な役割を果たしました。特にその運動性能とデザインは、今でも多くの自動車愛好家から愛され続けています。

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