トヨタ・88C-V

トヨタ・88C-Vの概要

トヨタ・88C-Vは、1988年の全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権（JSPC）への参戦を目的にトヨタ自動車が開発したグループCカーです。1986年までは、トヨタのグループC活動はトムスや童夢が中心でしたが、1987年からはトヨタのTRDが主導権を握りました。この変更により、新たに開発されたのが88C-Vです。

この88C-Vは、従来のアルミモノコック構造や直列4気筒ターボエンジンとは一線を画しており、モノコック部分はカーボンコンポジットで製造されました。これは、当時F1で一般的な技術として知られていましたが、グループCカーの中ではジャガーやアルバなどいくつかのモデルにしか採用されていませんでした。そのため、88C-Vは当時のレースカーとして非常に先進的なデザインを持っていたと言えます。

エンジンとタイヤ

88C-Vには、トヨタが新たに開発したR32Vエンジンが搭載されており、これは3.2リットルのV型8気筒ツインターボエンジンです。これはトヨタとしては、トヨタ7の5.0リットルV型8気筒以来の純レース用エンジンの開発を意味し、そのパフォーマンスへの期待が寄せられていました。また、タイヤにはブリヂストンが採用されています。

戦績

88C-Vの初号車である88CV-001は、1988年2月26日にトヨタモータースポーツ発表会で公開され、翌日にはTRDに引き渡されました。富士スピードウェイでの公開シェイクダウンも行われましたが、001型は実戦に出ることなくテスト専用とされました。以降、サスペンションのトラブルを抱えるなど、開発には苦労があったようです。

その後、7月には88CV-002が完成し、トムスに納車されたことで、88C-Vは1988年7月のJSPC第4戦富士500マイルでデビューしました。このレースで002型は36号車として出場し、予選では7位を獲得。決勝では速攻でトップに立つ場面も見られましたが、ターボトラブルやミッショントラブルに見舞われ、残念ながらリタイアとなってしまいました。

続いて鈴鹿1000kmでも002型が36号車として出場しましたが、燃料ポンプのトラブルにより史上最下位の16位という結果に終わりました。WEC-JAPANでは新たに完成した88CV-003も使用され、036号車は予選5位を記録しましたが、決勝ではミッショントラブルにより最下位の22位にとどまりました。

88C-Vが成績を残せなかった大きな要因としては、マシンの重量が挙げられます。88C-Vはラジエーターやターボチャージャーが増え、インタークーラー容量も増加したため、WECの車検では規定重量の850kgを大きく上回る951kg、955kgとなってしまいました。このため、様々なトラブルが影響し、期待されていたパフォーマンスを発揮することができませんでした。

シーズン終了後、003型は89C-Vに改装され、88C-Vはその後のレース活動においても影響を及ぼすこととなります。

まとめ

トヨタ・88C-Vは、その革新性と技術力の証明として理解される一方で、競技の厳しさの中で多くの課題に直面しました。これらの経験は、トヨタにとって貴重な教訓となり、その後のレース活動にも大きな影響を与えることとなるでしょう。

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