トヨタ・AZエンジン

トヨタ・AZエンジンについて

トヨタ自動車が展開するAZエンジンとは、水冷直列4気筒のガソリンエンジンシリーズです。このエンジンは2000年にエスティマで初めて採用され、その後の2代目S型エンジンの後継機種として多様なミディアムサイズの車両に搭載されました。AZエンジンは2019年10月にエスティマの販売終了を受け、生産を終えましたが、その歩みには多くの技術的な進化があります。

主な特長と仕様

AZエンジンの中心的なモデルとなるのは2.4Lエンジンであり、このエンジンは主として広州に位置する広汽トヨタエンジン製造会社で生産された後、日本に輸入される形で様々な車両に取り付けられました。他にも愛知県内の上郷工場や下山工場で製造が行われています。

エンジン仕様のバリエーション

AZエンジンには複数の仕様が存在し、それぞれ異なる特性を持っています。以下に主要なバリエーションを示します。

• - 1AZ-FE

タイプ: 直列4気筒 DOHC 16バルブ VVT-i
排気量: 1.998 L
圧縮比: 10.0
出力・[トルク]: 102 kW(139 ps)/5,600 rpm, 190 N・m(19.4 kg・m)/4,000 rpm
主な搭載車: RAV4(欧州仕様)

• - 1AZ-FSE

タイプ: 直列4気筒 DOHC 16バルブ VVT-i (D-4)
排気量: 1.998 L
圧縮比: 9.8 - 10.5
出力・[トルク]: 112 kW(152 ps)/6,000 rpm, 200 N・m(20.4 kg・m)/4,000 rpm
主な搭載車: プレミオ、アリオン

• - 2AZ-FE

タイプ: 直列4気筒 DOHC 16バルブ VVT-i
排気量: 2.362 L
圧縮比: 9.6 - 9.8
出力・[トルク]: 最大125 kW(170 ps)
主な搭載車: イプサム、カムリ、RAV4など

• - 2AZ-FXE

タイプ: 直列4気筒 DOHC 16バルブ VVT-i
排気量: 2.362 L
圧縮比: 12.5
出力・[トルク]: 96 kW(131 ps)/5,600 rpm
主な搭載車: エスティマハイブリッド

モータースポーツでの役割

AZエンジンは、モータースポーツにおいても重要な役割を果たしました。特に1AZ-FEエンジンは、トムスによってフォーミュラ3のベースエンジンとして開発され、2007年からは全日本F3選手権に参戦しました。このエンジンは高い性能を持ち、モータースポーツ関係者からも高く評価されています。しかし、F3のレギュレーション変更により、2013年からは全日本F3選手権からの撤退を余儀なくされました。

技術的な課題と対策

AZエンジンはその性能が評価される一方で、いくつかの技術的課題に直面しました。特にD-4エンジンではカーボンの堆積による不具合や、部品の故障がサービスキャンペーンの対象となるなどの問題が報告されています。また、特定のエンジン仕様ではスラッジの蓄積が問題視され、トヨタはリコールを行い、保証期間を延長する対策を講じました。これにより、運転者が安心して使用できる環境を整えています。

AZエンジンはトヨタの歴史の中で重要な位置を占め、多くの車両に搭載された信頼性の高いエンジンです。その技術と進化の歴史は、今後のトヨタのエンジン開発にも影響を与えることでしょう。

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