トヨタ・R36V

トヨタ・R36V：グループC時代の雄たけび

[トヨタ自動車]]が1990年に投入したR36Vは、1988年にデビューしたR32Vをベースに開発された純レーシングエンジンです。ル・マン24時間レース、世界スポーツプロトタイプカー選手権(WSPC)、全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権]といったトップカテゴリーのレース参戦を目指し、TMG（トヨタモータースポーツ開発）会長であった[[冨田務氏率いるチームによって生み出されました。

開発の背景：進化への要求

1980年代後半、トヨタは直列4気筒の3S-Gエンジンを主力としてプロトタイプカーレースに参戦していました。しかし、レース燃料の規制変更によりオクタン価の高い特殊燃料の使用が制限されることとなり、より排気量の大きなエンジンの必要性が浮上しました。

大排気量化には多くのメリットがありました。過給圧を下げられることでターボラグを軽減し、燃費向上も期待できます。さらに、純レース用エンジンとすることでリーンバーン（希薄燃焼）技術の活用も可能になり、予選でのパワー確保にも余裕が生まれました。これらの背景から、V型8気筒3.2リットルのR32Vが開発されました。

R32Vは一定の成功を収めましたが、JSPCチャンピオン獲得には至りませんでした。そこで、1990年には新たなグループCレギュレーションに対応するV型10気筒エンジンの開発と並行して、R32Vの排気量拡大版であるR36Vの開発が開始されました。

1990年、JSPC第3戦富士500kmレースでR36Vはデビューを飾りますが、搭載されたトヨタ・90C-Vシャシーの開発遅れにより、思うような結果を残せませんでした。翌年以降、シャシーの熟成が進むにつれ戦闘力は向上しましたが、日産の勢いを止めることができず、JSPCチャンピオン獲得には届きませんでした。1992年には、日産のR92CPに全勝を喫するなど、エンジンのポテンシャルの高さを示しつつも、勝利への道は険しいものでした。

グループC終焉とその後：R36V-R

1994年を最後にグループCカーは姿を消しました。R36Vを搭載したトヨタは、1994年のル・マン24時間レースで2位、鈴鹿1000kmではトラブルによりリタイアという結果に終わりました。しかし、R36Vの技術はその後も受け継がれ、1998年と1999年にル・マンに参戦したトヨタGT-One TS020に搭載されたR36V-Rへと進化を遂げました。R36V-Rは、R36Vをベースに改良が加えられたエンジンです。

スペック：R36VとR36V-R

R36Vは、トヨタのグループC挑戦における重要な技術的遺産であり、その進化は後継エンジンであるR36V-Rへと受け継がれていきました。グループC時代の激闘を象徴するエンジンとして、その名はモータースポーツの歴史に刻まれています。

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