トヨタ・ist

トヨタ・イストについて

概要

トヨタ自動車が製造した「イスト」は、ヴィッツを基にしたクロスオーバーコンパクトカーで、大きなタイヤと5ドアハッチバックボディを組み合わせたデザインが特徴です。日本国内専用モデルとして展開された後、北米では「サイオン」というブランド名のもとでxAおよびxDとして販売され、さらには欧州では「アーバンクルーザー」としても流通しました。車格は地域によって異なり、北米ではサブコンパクトカー、欧州ではBセグメントのMPVに分類されています。

初代 NCP60型（2002年 - 2007年）

初代イストは2001年の東京モーターショーで展示され、2002年に市場に登場しました。デザインには、ボディサイズの拡大にともなう居住性の向上と、SUV風のオーバーフェンダーやシャープなラインが盛り込まれており、人気のあったホンダ・フィットに対抗するため、戦略的に価格設定がされました。これにより、発表からわずか1ヶ月で約4万2000台の受注を集めました。販売数は、同時期にリリースされた他のコンパクトカーを上回り、コンパクト部門の中で2位に位置しました。しかし、2代目は初代と比べて価格が上昇したため、販売は振るわず2016年に生産終了となりました。

特筆すべきは、初代がTRDからオファーされていた「イストTRDターボ」や、販売店メカニックが行うチューニングプランが存在したことで、パフォーマンス向上に繋がった点です。また、デザインにもユニークな要素があり、ホイールハウスとタイヤのクリアランスが狭く、標準の金属製タイヤチェーンの取り付けが困難という特異な設計も見られました。

年表

• - 2002年

- 5月8日、初代モデル発売。トヨペット店とネッツ店で販売開始。
- 12月24日、特別仕様車「アクアバージョン」登場。

• - 2003年

- 6月4日、「F"Lエディション・HIDセレクション"」を発売。

• - 2005年

- 5月30日、マイナーチェンジを実施し、ネッツ店専売車種となる。

• - 2007年

- 6月、生産終了。累計販売台数は37万2587台。

2代目 XP110型（2007年 - 2016年）

2代目は2007年にフルモデルチェンジされ、Bプラットフォームが拡幅され、全幅は1,725mmに及び、3ナンバーに分類される車格となりました。このモデルは、デザインが2BOXとSUVを融合させた「クロスオーバースタイル」に改良され、運転席前にスピードメーターとタコメーターを配置した「コンセントリックメーター」が導入され、視認性が向上しました。

エンジンは初代の1,300ccエンジンが廃止され、新たに1,800ccエンジンが加わり、全体的にパワーが向上しました。トランスミッションはCVTや4速ATの選択肢があり、北米仕様には5速MTも用意されていた他、欧州向けにはディーゼルターボモデルも設定されました。安全性能も強化され、全モデルで6エアバッグが標準装備されているなど、運転者と同乗者の安全を重視した設計が施されています。

車名の由来

「イスト」という名称は、英語で「-主義者」を意味する接尾辞「-ist」に由来しています。これを通じて、ユーザーに向けた価値観やライフスタイルを反映させる意図があったといえます。

「イスト」は、その特異なデザイン、優れた居住性、環境性能の向上を重視した設計で、トヨタの多様なニーズに応じたモデルとして、誕生し続けてきました。

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