トヨペット・スーパー

トヨペット・スーパー

トヨペット・スーパーは、トヨタ自動車工業（現・トヨタ自動車）が1953年9月から1954年10月まで製造していた中型4ドアセダンです。この車両は、当時の日本におけるハイパフォーマンスカーの一例として知られており、特にタクシー業界でも多く使用されていました。

エンジンと性能

スーパーは、前モデルのトヨペット・SF型小型乗用車に搭載されたS型エンジンの排気量を約50%増量した新しいR型エンジンを搭載しています。このエンジンは、熱損失を抑えた燃焼室を持ち、動力性能の大幅な向上を実現しました。R型エンジンは、水冷直列4気筒で、排気量は1,453 cc、最高出力は48 HPに達し、最高速度は100 km/hを超えることが可能でした。この性能から、スーパーは「神風タクシー」と称され、乱暴な運転スタイルで知られた時代においても、その力強さが選ばれる理由となりました。

シャシーとサスペンション

このモデルのシャシーは、はしご型フレームおよびIビームとして設計されたフロントアクスル、リアをホーシング形式で支持する4輪リーフリジッドサスペンションで構成されています。1950年代の日本では舗装状況が不良であったため、こうしたトラックのような構成は耐久性を確保するために最適な選択でした。耐久性が求められるタクシー業界への対応は、特に重要でした。

車体製造の背景

スーパーの車台のコードネームはHであり、車体設計と組み立ては2社のコーチビルダーによって行われました。このため、同じ車名であっても、製造する工場によって微妙に外観や仕様が異なることが一般的でした。これが理由で特定の仕様を受注する際には納期が延びることも多かったのです。また、当時のトヨタは、エンジンと車台を示すアルファベットの組み合わせのみで車名を構成しており、愛称も持たないおおらかな時代でした。

モデル別解説

トヨペット・スーパーの主なモデルには、RHK型とRHN型があります。RHK型は関東自動車工業製のボディで、トヨペット・SFK型の進化版として1953年9月から1954年12月まで約3600台が生産されました。一方、RHN型は中日本重工業製のボディで、同時期に2015台が生産され、S型エンジンを搭載したSHN型も約100台が生産されました。

販売と影響

当時の日本では、乗用車が個人の自家用として普及していた時期ではなく、主に営業車としてタクシー業界や法人向けに販売されていました。このため、トヨペット・スーパーは業務用車両としての地位を確立し、今なお多くのファンに愛されています。

トヨペット・スーパーの作品

この車両は、いくつかの書籍で取り上げられており、車の歴史や進化を知る上で重要な存在とされています。代表的なものに『国産車100年の軌跡』や『ぼくの日本自動車史』などがあります。

結論

トヨペット・スーパーは、1950年代の日本において革新的な性能と耐久性を誇る乗用車で、自動車産業の発展に寄与した重要なモデルです。後のクラウンやコロナなど、トヨタの名車の発展に貢献したことから、その存在意義は今も色あせることはありません。

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