トリアムシノロン

トリアムシノロン（Triamcinolone）

トリアムシノロンは、持続的な効果を持つ合成コルチコステロイド（ステロイド剤）の一種です。炎症を抑える効果があり、様々な形態で投与されます。錠剤、注射剤、塗布剤、口腔用貼付剤などがあり、症状や目的に応じて使い分けられます。ステロイド外用薬としては、日本での格付けでミディアムクラスに分類されるものがあります。

多くの場合、ステロイド核D環の2つの水酸基にアセトンを付加したアセトニドが用いられます。海外では、ベネトニド、ヘキサセトニド、フレトニド、ジアセタートなどの誘導体も利用されています。

効果と使用例

トリアムシノロンは、免疫系において重要な役割を果たす化学物質の放出を阻害することで炎症を和らげます。これにより、過剰なアレルギー反応、気管支喘息による肺の炎症、関節炎などの症状を緩和することができます。花粉症の症状緩和や、関節炎の患部に直接注射することで炎症と痛みを和らげることもあります。

また、血液中の白血球数を減少させる効果もあり、白血球が異常に多く作られるタイプの白血病や、自己免疫疾患の治療にも用いられます。

使用上の注意点と副作用

トリアムシノロンを使用する際には、体内で自然に生成されるコルチコステロイドよりも大量に投与されるため、副作用のリスクがあります。

外用薬

ステロイド外用薬として使用される場合、吸収率の高い部位（頬、頭、首、陰部）への長期連用は避けるべきです。顔への使用はミディアム以下の強さが推奨されます。症状の悪化や変化が見られない場合は使用を中止する必要があります。全米皮膚炎学会によれば、ステロイド外用薬からの離脱の危険性を医師と患者が認識し、効力に関わらず2〜4週間以上の使用は避けるべきとされています。

禁忌

以下の患者には、トリアムシノロンの使用は禁忌とされています。

感染症のある関節腔内、滑液嚢内、腱鞘内、腱周囲
動揺関節の関節腔内
眼または眼周囲に感染またはその疑いのある患者
皮膚結核、単純疱疹、水痘、帯状疱疹、種痘疹
鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
潰瘍（ベーチェット病は除く）、第2度深在性以上の熱傷・凍傷
製剤成分に過敏症のある患者

重大な副作用

トリアムシノロンの使用には、様々な副作用のリスクが伴います。以下に主な副作用を挙げます。

錠剤・注射剤： 誘発感染症、感染症の増悪、続発性副腎皮質機能不全、糖尿病、消化性潰瘍、膵炎、精神変調、うつ状態、痙攣、骨粗鬆症、大腿骨および上腕骨等の骨頭無菌性壊死、ミオパチー、緑内障、後嚢白内障、血栓症、ショック、アナフィラキシー、喘息発作増悪、失明、視力障害、腱断裂
硝子体内注射剤： 白内障、眼圧上昇、眼内炎
軟膏： 後嚢白内障、緑内障（眼瞼皮膚塗布時）

これらの副作用は、使用する製剤の種類や投与方法によって異なります。トリアムシノロンを使用する際は、医師の指示に従い、副作用のリスクについて十分に理解することが重要です。

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