トリポリ港の戦い

トリポリ港の戦い

トリポリ港の戦いは、第一次バーバリ戦争の初期におけるアメリカ海軍の重要な軍事行動で、オスマン帝国の準独立州トリポリを相手に展開されました。この戦いの発端は、1801年5月にトリポリのパシャ、ユサフ・カラマンリがアメリカ合衆国領事館の星条旗を切り落とすという行為にあり、これにより両国の緊張関係は急速に高まりました。その後、アメリカの艦隊は6月にトリポリに対する戦闘を開始し、正式に戦争状態に突入しました。

最初の戦闘は1801年8月1日に発生し、アメリカ海軍のエンタープライズ艦はトリポリの艦船と衝突しました。この戦いでは、アメリカ海軍が勝利を収め、敵艦を戦闘不能にすることに成功しました。これに続いて、1803年10月3日、エドワード・プレブルがアメリカ艦隊の司令官に任命され、大規模な作戦が計画されました。

1803年10月31日、アメリカ艦隊の中心的役割を果たしていたフィラデルフィアがトリポリの小型艦に追い込まれ、座礁してしまいます。これがトリポリ側に捕らえられるきっかけとなり、307名の乗組員が捕虜となりました。プレブルはこの事態を受け、フィラデルフィアを破壊する決断を下しました。スティーブン・ディケーターは、拿捕された艦の破壊作戦を指揮し、1804年2月16日に成功裏にフィラデルフィアを焼き払いました。この功績により、ディケーターは歴史に名を刻むことになります。

しかし、特攻作戦を経てアメリカ海軍は本格的な攻撃を開始することができました。プレブルはシチリア国王から小型艦を借り受け、トリポリに対する艦砲射撃を行いました。1804年8月、トリポリ側の艦隊と激しい戦闘が繰り広げられましたが、艦艇の数が不足しており、効果的な攻撃とはならず、目立った成果を上げることができませんでした。

その後、プレブルは自ら率いる艦隊をトリポリの根拠地に攻め込む作戦を考案しましたが、敵の警戒により失敗に終わり、艦長を含む乗組員が全員戦死するという結果に終わりました。しかし、同年9月10日にはサミュエル・バロンが新たに艦隊司令官として就任し、従来の封鎖作戦から攻撃へと方針を転換しました。

トリポリ港の戦いにおけるアメリカ海軍の試みは、限られた資源と困難な状況下での戦闘の重要性を示しています。艦砲射撃や特攻作戦を通じて、敵に圧力をかけ、次なる作戦へとつなげるための教訓が生まれました。後のダーネの戦いへとつながるこの戦争は、アメリカ合衆国の海軍の成長と変革に大きな影響を及ぼしました。

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