トルクメニスタンの交通

トルクメニスタンの交通インフラ整備：2000年代前半

2000年代前半、トルクメニスタンは、長年放置された交通インフラの抜本的な改善に着手しました。ソビエト連邦崩壊後の経済的混乱により荒廃した道路や鉄道網は、国内経済の活性化や国際的な連携強化にとって大きな障壁となっていました。この状況を打開するため、政府は交通インフラ整備を国家プロジェクトとして位置づけ、大規模な投資と計画を実行に移しました。

鉄道網の拡張と近代化

2005年当時、トルクメニスタンには約2,440kmの鉄道が敷設されていましたが、その多くは国境付近に集中していました。この状況を変えるため、主要路線の延伸や、これまで接続の悪かった地域間の新たな鉄道ルートの建設が進められました。

特に重要なプロジェクトとして、2006年に開始されたトランス・ガラグム鉄道の建設があります。この鉄道の完成により、アシガバートとダショグズが直結され、南部と北部国境間の移動時間が大幅に短縮されました。また、テジェン＝セラフス＝マシュハド鉄道（1996年完成）は、中央アジア、ロシア、ヨーロッパと南アジア、湾岸諸国を結ぶ重要な国際ルートとして機能しています。都市部においても、アシガバート、ダショグズ、マルなど主要都市の鉄道網は改修・近代化されました。

隣国との鉄道接続については、イランとは貨物輸送のための路線が稼働しており、アフガニスタンとはタウラガンディーへの短区間路線が貨物輸送に利用されています。一方、カザフスタン、ウズベキスタンとの路線は運用停止状態が続いていました。カスピ海へのアクセスは、不定期のフェリーによる旅客輸送に限定されていました。

道路網の整備

2001年当時、トルクメニスタンには約22,000kmの道路があり、その約18,000kmが舗装道路でした。主要幹線道路は、国内西部のマルからイラン国境、アシガバートを経てカスピ海沿岸のトルクメンバシに至る路線と、北西部のアフガニスタン国境からテュルクメナバート、ウズベキスタン国境沿いにダショグズに至る路線が中心でした。2000年代前半には、これらの主要道路の改修に加え、アシガバートとトルクメンバシ、マルを結ぶ高速道路区間の建設が進められました。天然ガスの埋蔵量が多いトルクメニスタンでは、エネルギーインフラ整備も交通網整備に密接に関連していました。

水運とパイプライン

アムダリヤ川は国内を流れる主要な水路であり、ガラグム運河は灌漑用水路として機能する一方、一部区間では船舶航行も可能でした。原油パイプライン（250km）と天然ガスパイプライン（4,400km）は、エネルギー資源の輸出を支える重要なインフラでした。

港湾と空港の整備

カスピ海沿岸のトルクメンバシ港は改修工事が進められ、ロシアのアストラハンやアゼルバイジャンのバクーなどへの定期船便が運航されていました。その他、アラジャ、チェケレン、エカレムなどの小規模港湾も存在し、エカレム港は拡張計画が進行中でした。

2006年当時、トルクメニスタンには29の空港があり、その多くが舗装された滑走路を備えていました。アシガバート空港は3,000m以上の滑走路を持つ主要空港であり、1990年代半ばに拡張と近代化が行われました。ダショグズとテュルクメナバートにも小規模な国際空港がありました。トルクメニスタン航空は国際線も運航しており、中国、ドイツ、インドなど多くの国々との空路を結んでいました。

まとめ

2000年代前半のトルクメニスタンにおける交通インフラ整備は、経済発展と国際連携強化のための重要な取り組みでした。鉄道や道路網の延伸、空港の近代化、港湾の拡張など、多岐にわたる整備によって、トルクメニスタンの交通事情は大きく改善され、経済活性化への貢献を果たしました。しかし、隣国との接続状況など、課題も残されています。

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