トロフィー (兵器)

トロフィーアクティブ防護システム

トロフィー（Trophy）は、イスラエル製のアクティブ防護システム（APS）の一つで、主に装甲戦闘車両の防護能力を強化するために開発されました。このシステムは、イスラエル国防軍においては「מעיל רוח」（マイル・ルアハ）と呼ばれ、「ウィンドブレイカー」を意味します。また、別名としてASPRO-Aとも呼ばれます。トロフィーは、ミサイルやロケットなどの飛来物を散弾銃のような弾幕で迎撃し、破壊する能力を持っています。

トロフィーは、約10年間にわたる共同開発の結果、ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社と、エルタ・システムズにより設計されました。2009年8月にはテストが行われ、イスラエル国防軍の地上軍司令官が運用可能であると発表。その後、2010年までにイスラエル陸軍の機甲科全旅団に配備された戦車に装備されます。

設計と機能

トロフィーは主にイスラエル陸軍メルカバ主力戦車に搭載されるよう設計されています。その中心にはエルタ社製のEL/M-2133火器管制レーダーが含まれており、360度全周囲をカバーする索敵を行います。脅威となるミサイルの発射を検知すると、内蔵コンピュータがその進行方向を計算し、最適なタイミングで迎撃体を射出します。

迎撃体は通常、金属製のペレットで構成され、車両の側面上部に設置された旋回式発射器から発射されます。この設計により、トロフィーは近接する友軍を危険にさらすことなく、様々な種類の対戦車ミサイルやロケットに対応できます。システムの特長は、静止状態や移動中のいずれにおいても機能し、近距離及び長距離の攻撃に対して効果を発揮します。

トロフィーの新しいバージョンには、再装填機能が搭載されており、将来的には運動エネルギー弾頭に対する防護も可能とされる構想があるという利点があります。

利点

トロフィーの最も重要な機能は、敵のミサイルから戦車や装甲車の防護を強化することです。このシステムを装備することで、これらの戦闘車両の生存率が向上し、必要に応じて従来の重装甲を撤去し、車体の小型化や軽量化を図ることが可能になります。特に、ロケット攻撃に対して脆弱な装甲兵員輸送車の防護も強化されるため、作戦行動の幅が広がります。

軽量型トロフィー

2007年には新型の「Trophy Light」が発表され、これは軽量から中量の車両に装備されることを目的としています。標準型よりもサイズと重量が半分になり、コストも抑えられる見込みです。軽装甲車両の防護力を強化するために設計されており、ラファエル社によって技術的な研究が進められています。

国際的な導入

トロフィーは外国でも導入され始めており、アメリカ合衆国ではM1エイブラムスに装備されたり、ドイツのレオパルト2A7にも搭載予定です。また、イギリスではチャレンジャー3用にトロフィーAPSの導入が決定されるなど、他国でもその採用が進んでいます。トロフィーは多くの国で防御システムとしての有用性が評価され、今後の発展が期待されています。

結論

トロフィーは、その革新的な設計により、多くの装甲戦闘車両の生存率を劇的に向上させてきました。その技術は多国籍な協力によって進化し続けており、各国の軍隊にとって重要な防御手段として重宝されています。このアクティブ防護システムは、今後も進化を続けることで、さらなる防衛能力の向上が期待されるでしょう。

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