トロペツ

トロペツは、ロシアのトヴェリ州に位置する都市で、ヴァルダイ丘陵の西部に位置しています。人口は約1万1千人（2021年）です。西ドヴィナ川の支流であるトロパ川がソロメノ湖に流れ込む地点に位置し、水運の要衝として古くから発展してきました。

地理と交通

トロペツは、トヴェリ州の州都トヴェリから西へ約330kmの場所に位置しています。1907年に開通した鉄道の駅があり、周辺地域との交通の便が良いです。また、モスクワからラトビア国境へ至る幹線道路も近くを通っており、物流の拠点としての役割も担っています。町の名前はトロパ川に由来し、その川の流れの速さが特徴です。

歴史

トロペツの歴史は古く、1074年には年代記にその名が登場します。当時はスモレンスク公国に属していましたが、12世紀にはトロペツ公国として独立しました。ムスティスラフ・ムスティスラヴィチ公は、モンゴル襲来以前のロシアにおいて有力な武将として知られています。また、アレクサンドル・ネフスキー公が結婚式を挙げた地としても知られています。

15世紀にはリトアニア大公国の支配下に入りますが、ヴェドロシャ川の戦いでモスクワ大公国に敗れ、その支配下に入りました。その後は、ロシア西方の国境交易と防衛の拠点として重要な役割を果たしました。17世紀初頭の大動乱期には、ポーランド軍の略奪を受けましたが、その後復興を遂げました。1907年の鉄道開通により、木材取引の中心地として発展しました。

20世紀には、ソビエト政権が確立され、第二次世界大戦中にはドイツ軍に一時占領されましたが、ソ連軍の反撃により解放されました。2022年のロシアのウクライナ侵攻に関連して、2024年にはウクライナの無人機による攻撃を受け、武器庫が炎上する被害も発生しています。

文化と観光

トロペツには、歴史的な聖堂が数多く残っています。聖ニコライ聖堂、カザンの生神女聖堂、前駆授洗イオアン聖堂などは、いずれも17世紀から18世紀にかけて建てられたもので、美しいレンガ造りの建築様式を今に伝えています。これらの聖堂は、トロペツの歴史と文化を象徴する貴重な遺産です。

出身著名人

トロペツは、モスクワ総主教ティーホンを輩出した地としても知られています。ティーホンは、20世紀初頭のロシアにおいて、宗教界の指導者として重要な役割を果たしました。

トロペツは、その長い歴史の中で様々な変遷を経験してきました。現在では、静かな地方都市として、その歴史と文化を大切に守りながら、新たな発展を目指しています。

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