トロント交響楽団

トロント交響楽団



トロント交響楽団(Toronto Symphony Orchestra)は、カナダトロントを本拠地とするオーケストラです。

概要



1922年に設立されたトロント交響楽団は、年間20万人もの観客を動員するカナダを代表するオーケストラです。CBC放送を通じてコンサートの生演奏が放送されることも多く、RCAソニー・クラシカル、フィンランディアといったレコード会社や、CBCの自主レーベルに数々の録音を残しています。

日本においては、小澤征爾が初めて音楽監督に就任したオーケストラとして特に有名です。1965年に音楽監督に就任した小澤は、楽団の大幅なメンバーチェンジを行い、コンサートマスターすらも交代させました。就任後、メシアンの『トゥーランガリラ交響曲』や武満徹の『ノヴェンバー・ステップス』といった意欲的な作品に取り組み、その細身でしなやかなサウンドで20世紀音楽に鮮やかに対応し、楽団の国際的な評価を高めました。

小澤征爾の辞任後、1969年にはカレル・アンチェルが音楽監督に就任し、地道ながらも着実に楽団のレベルアップに貢献しました。さらに、1975年から1988年まで音楽監督を務めたアンドルー・デイヴィスは、レコーディングや国内外への公演を積極的に行い、楽団の高い音楽性を世界に示しました。

一時、聴衆の動員力低下などによる低迷期もありましたが、2004年にピーター・ウンジャンを音楽監督に迎えたことで、同時代のアートとの連携を図りながら積極的な演奏活動を展開し、危機を脱することに成功しました。そして2020年からは、グスターボ・ヒメノが音楽監督を務めています。

また、カナダトロント出身の著名なピアニスト、グレン・グールドが唯一指揮をしたのが、トロント交響楽団によるワーグナーの『ジークフリート牧歌』でした。

歴代音楽監督



ルイジ・フォン・クニッツ (Luigi von Kunits)(1922年 - 1931年)
アーネスト・マクミラン(1931年 - 1956年)
ワルター・ジュスキント(1956年 - 1965年)
小澤征爾(1965年 - 1969年
カレル・アンチェル1969年 - 1973年)
アンドルー・デイヴィス(1975年 - 1988年)(1988年から桂冠指揮者)
ギュンター・ヘルビヒ(1989年 - 1994年)
ユッカ=ペッカ・サラステ(1994年 - 2001年)
ピーター・ウンジャン(2004年 - 2018年)(2018年から名誉指揮者)
グスターボ・ヒメノ(2020年 - )

参考文献



小澤征爾、村上春樹『小澤征爾さんと、音楽について話をする』新潮社、2011年。ISBN 978-4-10-353428-0。
ONTOMO MOOK『世界のオーケストラ名鑑387』音楽之友社、2009年。
上地 隆裕著『世界の[オーケストラ] ~北米・中米・南米編~』株式会社 芸術現代社、2015年。ISBN 978-4-87463-203-1。
ONTOMO MOOK『世界の名門オーケストラ音楽之友社、2020年。

外部リンク



Toronto Symphony Orchestra - 公式ウェブサイト
tsoundcheck
Toronto Symphony Volunteer Committee
Roy Thomson Hall

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