トロンヘイム沖海戦

トロンヘイム沖海戦：第二次世界大戦におけるノルウェー沖の激戦

トロンヘイム沖海戦は、第二次世界大戦中の1940年4月8日に、ノルウェー沖で発生した海戦です。この海戦は、ノルウェーを巡るイギリスとドイツの戦略的な対立が背景にあり、両国海軍が激突しました。

戦争勃発とノルウェーの戦略的重要性

1939年9月に第二次世界大戦が勃発すると、ノルウェーは中立を宣言しました。しかし、その地理的な位置から、枢軸国と連合国の双方にとって、ノルウェーは戦略的に重要な場所でした。ドイツは「ヴェーザー演習作戦」によりノルウェー侵攻を計画し、一方イギリスも「ウィルフレッド作戦」という機雷敷設作戦を計画していました。

海戦に至るまでの経緯

1940年4月7日早朝、ドイツ艦隊はヴェーザー川河口沖に集結しました。その中には、重巡洋艦アドミラル・ヒッパーと駆逐艦4隻が含まれており、トロンヘイムへの兵員輸送を任務としていました。一方、イギリス海軍もノルウェー侵攻作戦を発動しており、巡洋戦艦レナウンと駆逐艦4隻がロサイスを出撃しました。しかし、駆逐艦グローウォームは乗組員の捜索中に部隊から分離し、単独で行動することになりました。

海戦の勃発

4月8日、グローウォームはノルウェー沖でドイツ艦隊と遭遇しました。最初にグローウォームと交戦したのは、ドイツ駆逐艦ハンス・リューデマンとベルンド・フォン・アルニムでした。ベルンド・フォン・アルニムは、グローウォームに対してスウェーデン海軍の艦であると偽りましたが、グローウォームはそれを信じず砲撃を開始しました。これにより、トロンヘイム沖海戦が勃発しました。

ドイツ艦隊の総指揮官リュッチェンス提督は、駆逐艦を支援するため、重巡洋艦アドミラル・ヒッパーを派遣しました。アドミラル・ヒッパーが戦場に到着すると、グローウォームは2度にわたって雷撃を試みましたが、いずれも回避されました。一方、アドミラル・ヒッパーの砲撃はグローウォームに命中し、グローウォームは炎上しました。しかし、グローウォームは諦めずにアドミラル・ヒッパーへの体当たりを敢行し、アドミラル・ヒッパーの右舷に衝突しました。

海戦の結果とその後

グローウォームは、砲撃による被害と体当たりによって戦闘不能となり、間もなく沈没しました。乗組員149名のうち、31名がアドミラル・ヒッパーによって救助されました。グローウォームの勇敢な戦いぶりは、後日イギリス本国に伝えられ、戦死した艦長にはヴィクトリア十字章が授与されました。一方、アドミラル・ヒッパーも浸水被害を受けましたが、作戦行動を継続してトロンヘイムに向かいました。また、この海戦での功績により、ヒッパーの艦長ヘルムート・ハイエ大佐にも騎士鉄十字章が授与されました。

グローウォームからの通信途絶を受けて、イギリス本国艦隊は巡洋戦艦レパルスなどを派遣しましたが、ドイツ艦隊もグローウォームも発見できませんでした。

その後の戦況

4月9日、巡洋戦艦レナウンはナルヴィク沖でドイツ高速戦艦2隻と遭遇し、交戦しました（ロフォーテン諸島沖海戦）。また、ノルウェー周辺で行動中のイギリス艦隊は、ドイツ空軍による空襲に悩まされました。イギリス海軍は、ドイツ軍によるナルヴィクとトロンヘイムの占領を防ぐことができず、ノルウェーにおける戦況はドイツ側に有利に展開しました。

まとめ

トロンヘイム沖海戦は、第二次世界大戦におけるノルウェー戦線における重要な海戦の一つです。この海戦は、一隻のイギリス駆逐艦が、ドイツ艦隊に果敢に挑み、最終的に沈没したという悲劇的な結末を迎えました。しかし、この海戦におけるグローウォーム乗組員の勇敢な行動は、後世に語り継がれています。

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