トースハウン

トースハウン

トースハウン（フェロー語: Tórshavn）は、デンマーク王国の自治領であるフェロー諸島の首都です。ストレイモイ島の東岸南部に位置し、約19,000人の人口を有します。周囲には347mのHúsareyn山や350mのKirkjubøreyn山があり、美しい自然環境に囲まれた町となっています。町の名前は「トールの港」を意味し、トールは北欧神話における雷神です。日本語では「トールシャウン」と表現されることも多いです。

歴史

トースハウンの歴史は、9世紀にさかのぼります。当時、ノルウェー王国の圧制から逃れた人々がこの地に入植しました。825年にはヴァイキングたちがティンガネスに独自の議会（ting）を設立しました。この場所は現在、トースハウン市の一部として知られる半島で、議会があえて人気のない地区に設置されたため、ティンガネスはストレイモイ島の中心地となりながら、当時は誰も住んでいない場所でした。毎年夏になると、ヴァイキングたちがこの地に集まっていました。

1035年にはヴァイキング時代が終焉し、その後ティンガネスには市場が設けられ、交易の中心地へと発展していきました。この地域はフェロー諸島の主要港として成長し、1271年にはノルウェー王室の貿易専売所が設立されるなど、12世紀を通じてベルゲンとの交易が行われ、中心都市としての地位を確立しました。

1539年にはプロテスタント改革が起こり、1590年までには海賊による略奪行為が盛んになりました。このため、港の北端には小さな要塞が建設され、周辺住民は防備のために食料や衣類を提供して警備を行いました。1655年にはデンマークのフレデリク3世がこの地域を政治家クリストファー・ゲーベルに下賜し、島の住民は抑圧されることになりました。この状況から1673年に島民の蜂起が起こり、ゲーベル家の役所が焼き討ちされる事件も発生しました。1709年には貿易が王室の管理下に戻り、再び安定を取り戻しましたが、同年には天然痘の流行により町の住民はほとんどいなくなりました。18世紀後半には町の再建が始まり、英仏戦争中に水産品を中心とした貿易が成り立ちました。

1856年にはフェロー諸島が自由貿易の時代に突入し、1866年には町議会が設立され、以降はフェロー諸島の行政の中心地となります。1909年にはデンマーク本土の都市と同様の市場が開設され、1927年には近代的な港湾施設が整備されました。

第二次世界大戦が始まると、1940年4月に英国がフェロー諸島に進攻し、戦争中は英国の占領下に置かれました。今日のトースハウンは周辺の町を併合し、活気ある都市へと成長しています。

交通

トースハウンには、Smyril Lineを利用したデンマーク及びアイスランドへの国際航路があります。空港はストレイモイ島には設置されておらず、ヴォーアル島にあるヴォーアル空港を利用します。また、両島を結ぶ海底トンネルが完成しており、アクセスが便利です。

行政

フェロー諸島の行政は、一院制のフェロー諸島議会（Løgting）によって運営されています。この議会は1856年からトースハウンのティンガネス半島に設置されています。

気候

トースハウンは西岸海洋性気候に分類され、夏は短く冷涼ですが、冬はメキシコ湾流の影響により温暖で、海が凍ることは少ないです。

観光

1788年に設立されたトースハウン教会があり、1865年に再建されています。また、1990年からルーテル教会のトースハウン司教座が置かれ、観光名所のひとつとなっています。町にはスポーツクラブもあり、サッカーチームやハンドボールチームなど、地域の活動が盛んです。

有名な出身者

この町にはニールス・フィンセンのようなノーベル賞受賞者や、女子プロボクサーのサラ・マフフードなど著名な人物がいます。トースハウンはその豊かな歴史と文化を持ちながら、現在も多様な魅力を提供しています。

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