ドニプロ市電

ドニプロ市電について

ドニプロ市電（ウクライナ語: Дніпровський трамвай）は、ウクライナのドニプロ市内で運行されている路面電車です。このシステムは1897年6月27日に開業され、旧ロシア帝国内ではキエフ市電やニジニ・ノヴゴロド市電に次いで3番目にあたる路線です。現在はドニプロ・エレクトロトランスポートが運営し、トロリーバスとともに多くの市民に利用されています。

歴史的背景

ドニプロ市電の開業時、都市名はエカテリノスラーフでした。運営や建設を担当したのはベルギーの企業であり、開業時にはガンツ社製の電車が導入されました。路面電車は市民の間で瞬く間に人気を博し、乗客を多く運びました。1909年には第二の路線が開通しましたが、1906年には他の企業が独自の路面電車路線を開設するなど、競争もありました。

ロシア革命を経て、これらの路線はドニプロ市による公営化が進み、1920年代の初頭には荒廃していた路線網の復旧作業が始まりました。この復旧作業の後、路線網は急速に拡大し、1931年には総延長が65kmに達しました。1930年代にはソ連全体で路面電車の標準化が進み、ドニプロ市電の軌間も変更されることとなり、1933年から1948年にかけて改軌工事が行われました。この年の利用客数は1億7,200万人に達し、貨物列車の運行も行われていました。

第二次世界大戦とその後の発展

しかし、第二次世界大戦が勃発すると、ドニプロ市は戦場となり、路面電車は大きな損害を受けました。戦後、1943年から復興作業が始まり、資材や電力の不足を乗り越えて1950年代初頭にかけて路線網の復旧が完了しました。その際、トロリーバスの導入に伴って運営体制が見直され、路面電車とトロリーバスを統括する部門へと改名されました。

1950年代以降、ソ連時代には路面電車とトロリーバスの共同運営が進み、車両の近代化も図られました。1960年代には新たにボギー車が導入され、1970年代には自国製のKTM-5M3やチェコ製のタトラT3などが導入されました。その結果、1980年時点では営業キロが157.6km、在籍車両数が477両に達しました。

1990年代以降の状況

ソビエト連邦の崩壊後、ドニプロ市電は市が所有する公共交通機関として運営が継続されましたが、特に1994年以降は運賃が値上げされるなど経済的な混乱が生じました。同時に、1996年からは新型電車の導入が再開され、地元企業であるタトラ＝ユーク製の車両が登場しました。しかし、2000年代に入ると民間のミニバスの発展や運賃値下げの影響を受け、厳しい経営状態が続いています。

現在の運行状況

2020年現在、ドニプロ市電の運行系統は確立されており、運賃はトロリーバスと共通で、乗車あたり6フリヴニャです。また、観光用の「レトロ」電車も運行しており、特別な運賃が設定されています。すべての営業用車両は市電の第3車庫に所属し、一部は特定の支局にも在籍しています。

今後の展望

ドニプロ市電では2019年以降、ライプツィヒ市電からの譲渡車両の導入が続いており、さらに2020年にも30両の旧型電車の譲受が計画されています。また、全車両の塗装変更も進められており、新しいデザインへの移行も期待されています。

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