ドバイ日航機ハイジャック事件

ドバイ日航機ハイジャック事件：1973年の悲劇とその後

1973年7月20日、パリ発羽田行きの日本航空404便（ボーイング747）が、日本赤軍とパレスチナ解放人民戦線の合同グループによってハイジャックされるという未曾有の事件が発生しました。この事件は、犯行グループの過激な要求、国際的な駆け引き、そして最終的な機体爆破と、数々のドラマチックな展開で世界を震撼させました。

事件の発端：アムステルダムでの誤爆

テルアビブ空港乱射事件への関与で国際手配されていた日本赤軍メンバーとパレスチナ解放人民戦線のメンバーからなるグループは、アムステルダム出発後に機内で手榴弾を誤爆させます。この事故により、犯人グループの女性1名が死亡、チーフパーサーが重傷を負うという悲劇的な事態が発生しました。この誤爆をきっかけに、ハイジャックが始まりました。

犯行グループの要求とドバイへの着陸

犯人グループはイスラエル政府に対し、テルアビブ空港乱射事件で逮捕された岡本公三の釈放と500万ドルの身代金を要求。ベイルートまたはダマスカスへの着陸を希望しましたが、両国政府はこれを拒否。結果、アラブ首長国連邦のドバイ国際空港に着陸することになりました。

ドバイでの交渉とベンガジへの移動

ドバイでは3日間に渡り交渉が行われましたが、犯人グループは40億円の身代金と日本赤軍メンバー2名の釈放を要求。ドバイ首長家のメンバーや日本の政府関係者らが交渉にあたりましたが、合意には至りませんでした。その後、犯人グループはシリアで給油を行い、リビアのベンガジへと向かいます。

ベンガジでの機体爆破と犯人グループの投降

ベンガジに到着後、犯人グループは乗客乗員150名を解放。その後、事前に乗務員に通知した上で機体を爆破し、リビア当局に投降しました。機体爆破により、滑走路が使用不能となったため、救援機の着陸は不可能となり、解放された乗客乗員はリビア政府の支援を受けながら、陸路での救援を待つことになりました。犯人グループはリビア政府の支援を受け、国外逃亡を果たしました。

隠された真実：撃墜指令の可能性

2004年に公開されたイギリス外務省の機密文書によれば、イスラエルとサウジアラビアは、ハイジャック機が石油関連施設や市街地に向けて飛行した場合、撃墜する方針であったことが明らかになっています。これは、事件の緊迫性を改めて示すものです。

犯人グループのその後と日本赤軍の終焉

ハイジャック事件に加担した丸岡修は、その後1977年のダッカ日航機ハイジャック事件にも関与し、1987年に逮捕。無期懲役判決を受け、2011年に獄中で死亡しました。日本赤軍はその後、メンバーの逮捕が相次ぎ、壊滅状態となりました。一方、事件に関与したパレスチナ解放人民戦線のメンバーのその後については、情報が乏しいのが現状です。

事件の影響：ポルナレフ革命の発売延期など

この事件は、乗客乗員への直接的な被害に加え、間接的な影響も及ぼしました。例えば、フランスの歌手ミッシェル・ポルナレフのアルバム『ポルナレフ革命』のマスターテープが、このハイジャック機に搭載されており、爆破によって焼失したため、発売が延期されました。また、焼け残った機体の部品は、他の航空機に転用されたという事実も知られています。

事件の教訓

ドバイ日航機ハイジャック事件は、テロリズムの脅威と国際社会の対応、そしてその複雑さを改めて浮き彫りにした事件でした。この事件は、航空安全の強化、国際的なテロ対策の重要性などを再認識させる、歴史に残る悲劇と言えるでしょう。事件から半世紀以上が経過した現在も、その教訓は現代社会に活かされ続けるべきです。

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