ドミトリー・ドンスコイ (装甲艦)

ドミトリー・ドンスコイ

ドミトリー・ドンスコイ（Дмитрий Донской, Dmitri Donskoi）は、ロシア帝国海軍が自国の沿岸防衛の目的で建造した特異な装甲艦です。同型艦は存在せず、その艦名はモスクワ大公のドミートリー・ドンスコイに由来しています。

艦形

この艦は平甲板型船体を基本としており、3本のマストと2本の煙突を持つ装甲フリゲートの形状をしています。艦首の水面下には衝角があり、船体の中央部にはミッションが設けられています。艦橋の後方には2本の煙突が立ち、砲郭部分には主要な武装が左右均等に配置されています。

1894年から1895年にかけては近代化改装が行われ、機関は強化されました。これに伴い、帆走設備は撤去され、代わりにマスト上には速射砲の見張り所が配置されました。この改装によって艦はより戦闘能力を高めることができました。

戦歴

ドミトリー・ドンスコイは日露戦争において、日本海海戦に参加しています。この戦いでは、僚艦が続けて撃沈または捕獲される中で、艦は最後まで戦闘を続けました。しかし、最終的には鬱陵島付近で自沈を余儀なくされ、乗員は同島に上陸し捕虜となりました。

引き揚げ計画

1916年には日本側がドミトリー・ドンスコイの引き揚げ事業を計画しましたが、これは実現しませんでした。さらに、第二次世界大戦後の韓国でも、1981年にトジン実業が引き揚げを試みましたが、失敗に終わりました。そして1998年からは、倒産寸前の東亜建設も引き揚げ計画を持ち出しましたが、これも実現には至りませんでした。

2018年7月15日、シニルグループと呼ばれる韓国の建設・海運業者が、ドンスコイを発見したと発表しました。彼らは、艦が金貨や金塊5000箱など、合計150兆ウォン（約15兆円）に相当する財宝を積んでいると主張しました。しかし、この引き揚げ計画の資金源は、シニルグループ・ドンスコイ号国際取引所が仮想通貨シニルゴールドコインの販売によって得るものであり、投資家たちは艦引き揚げや金塊の存在に対する保証がなかったため、同年7月21日には詐欺被害者の会が立ち上がりました。

しかし、その後10月15日には韓国警察が、シニルグループの資金集めが詐欺であるとして、元副会長らを逮捕しました。また、行方が不明な実質的な経営者については国際手配がされる事態に発展しました。

なお、艦に積まれていたとされる金品に関しては確証がなく、その理由についても疑問視されることが多く、様々な論争を巻き起こしました。

参考図書

• - 「Conway All The World's Fighting Ships 1860-1905」（Conway）

関連項目

• - ソ連・ロシア海軍艦艇一覧
• - 戦艦一覧

外部リンク

• - 'Dmitriy Donskoy' (1880) - 本艦の説明と近代化改装以前の写真が閲覧できます。

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