ドミノ (山崎まさよしのアルバム)

山崎まさよしにとって通算3枚目のオリジナル・アルバムにあたる『ドミノ』は、1998年12月23日にポリドール・レコードから発売されました。この発売日は、奇しくも山崎自身の27回目の誕生日という記念すべき一日でした。

本作の制作は、山崎が自身初のテレビドラマ主演に挑んだ読売テレビ系のドラマ『奇跡の人』の撮影期間中に並行して行われました。俳優業と音楽制作を両立させる多忙なスケジュールの中でレコーディングが進められたアルバムです。

アルバムには、先行して発表されていたシングル曲がすべて、このアルバムのために新たにミキシングされた「アルバム・ミックス」バージョンとして収録されています。

収録曲は、バラードからスピード感あふれるロックチューンまで、その音楽性の幅広さを示す多彩な楽曲で構成されています。

中でも、ドラマ『奇跡の人』の主題歌として制作され、山崎にとって初のテレビドラマ主題歌となった「僕はここにいる」は、アルバムの核となる楽曲の一つであり、もちろんアルバム・ミックスで収められています。また、日産自動車「パルサー」のコマーシャルに使用された6thシングルの両A面曲「ガムシャラ バタフライ」や、TBS系『COUNT DOWN TV|COUNT_DOWN_TV』のオープニングテーマに起用された7thシングル「水のない水槽」も、それぞれアルバム・ミックスで収録されています。

アルバムならではの楽曲にも魅力的なものが多く含まれています。「琥珀色の向い風」については、山崎自身がスタジオジブリ映画『となりのトトロ』に登場するような日本の原風景をイメージして書いた、とユーモア交じりにコメントしたことがあります。また、「苦悩のマタニティー」は、シリアスなテーマとコミカルな要素が混在する独特の雰囲気を持つ楽曲です。アルバムタイトルを冠した「ドミノ」は、NHKの音楽番組『ポップジャム』のエンディングテーマとして使用されました。「ソノラマ」には、曲名の由来となった「朝日ソノラマ」という出版社に関する注釈が歌詞カードに記載されている点も興味深いところです。

本作の初回プレス盤は、通常のCDケースとは異なり、オレンジ色のプラスチックケースが採用され、さらに緑色の特殊スリーブ・ケースに収められた凝った仕様でした。また、店舗によっては購入特典として、複数枚組のポストカードが配布される場合もありました。

アルバムの発売後には、本作を引っ提げた全国コンサートツアー「YAMAZAKI MASAYOSHI TOUR 1998-1999 DOMINO ROUND」が開催されました。このツアーの最終公演、神奈川県民ホールでのライブの模様は映像化され、1999年7月14日にVHSとして発売されました（限定生産盤にはフィギュアも付属）。その後DVD化も実現し、DVDは期間限定で何度か廉価版が登場しています。

CDのジャケット写真もファンからの支持が高く、ファンクラブ会員が参加した企画「好きなジャケット写真～アルバム篇」では第4位にランクインしました。また、本作はCDだけでなく、アナログ盤としてもリリースされており、1999年5月14日に一度限定発売された後、2007年12月19日にはボックスセットとして再び再リリースされています。

レコーディングには、山崎まさよし（ボーカル、ギター、ベース、ドラムス、その他多数の楽器やプログラミングを担当）自身に加え、長年の活動を共にしている中村キタロー（ベース、ギター、パーカッション、ピアノ、プログラミング）や山木秀夫（ドラムス、タンバリン）といった主要メンバーのほか、後藤勇一郎ストリングス、Dr.Kyon、江川ゲンタ、村田陽一、原朋直、谷口英治、樋口健、朝本浩文、名越由貴夫、沖山優司、池畑潤二、岡田エリグループなど、多彩なゲストミュージシャンが参加し、サウンドに深みを与えています。

『ドミノ』に収録された楽曲の多くは、その後リリースされたベストアルバム『BLUE PERIOD』や、様々な形態のライブアルバム（『ONE KNIGHT STANDS』『Transit Time』『WITH STRINGS』など）にも収録され、発表から長い年月を経てもなお、多くのファンに愛され続けている作品です。

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