ドミンゴス中村長八

ドミンゴス中村長八とは

ドミンゴス中村長八（1865年9月21日 - 1940年3月14日）は、日本のカトリック司祭であり、海外派遣された初の日本人宣教師です。長崎県五島列島出身で、その生涯は日本とブラジルの両国にまたがります。彼は「生ける聖人」と称えられ、没後も列福調査が進められています。

生涯

幼少期と修道生活

中村長八は、1865年、五島列島の福江島で生まれました。両親は熱心なカトリック信者で、幼い頃から信仰に親しんで育ちました。3歳の時に父親を亡くし、15歳で母親と姉も失うという悲しい経験をします。その後、2人のフランス人神父の推薦で長崎の神学校に入学。哲学や神学を学び、ラテン語とフランス語も習得しました。

司祭叙階と奄美大島での司牧

1897年、長崎で司祭に叙階された中村は、その2週間後には奄美大島ミッションに派遣されます。そこで26年間、島民からの尊敬を集め、カトリック信者でなくても親しみを持たれる存在となりました。この間、彼は島の人々の生活に寄り添い、その信仰を支え続けました。

ブラジルでの宣教活動

1922年、司教からのブラジル宣教の要請に応え、中村は58歳でブラジルへ渡ります。当初、他の司祭たちはこの要請に応じなかったため、高齢にもかかわらず自ら申し出ました。

1923年、ブラジルに到着した中村は、サンパウロ州を中心に、マットグロッソ州、パラナ州、ミナスジェライス州南部の広大な地域で宣教活動を開始します。その面積は日本の約3.5倍にも及びます。

彼はミサ典書や祭壇、その他のミサ用品を自ら運び、徒歩や馬で各地を巡回しました。日本人移民の家族を訪ね、時には野宿をしながら、人々の信仰生活を支えました。その献身的な働きは、ブラジル人からも尊敬を集めました。

17年間の宣教活動中に、1,750人もの人々に洗礼を授けました。その内訳は、日本人1,304人、ブラジル人440人、混血児6人です。

死去と列福調査

1938年、教皇ピオ11世から「大聖グレゴリオ勲章」を受章しますが、1940年、病に倒れブラジルで亡くなります。その直後、鹿児島司教区の使徒管理に任命されますが、その通知は彼の死後に届きました。

2002年、列福調査が開始され、現在も調査が進められています。列福されれば、殉教者ではない初の日本人聖人となる可能性があります。

人物像と評価

中村長八は、その謙虚さと清貧な生活、そして人々のために働く姿から、「生ける聖人」と呼ばれていました。彼は日本人移民だけでなく、ブラジル人からも慕われ、その献身的な働きは今もなお語り継がれています。

その他の呼び名

中村神父、モンセニョール中村、ブラジル日本移民の使徒、日本移民の心の父、Padre Nakamura、Monsenhor Nakamuraなど

参考文献

ヴェンデリーノ・ローシャイタ著「ドミンゴス中村長八神父―ブラジル日本移民の父」
大西ペドロ著、水野一訳『ドミンゴス中村長八神父：ブラジル日本移民の使徒』
佐藤清太郎著『中村長八先生略伝 : 在外日本人の師表』
佐藤清太郎著『中村神父を思う : ブラジル移民の父』
新谷光アルベルト著「ブラジルの日本移民とカトリック教会の社会的役割」

関連施設

五島市福江島の堂崎教会には、中村長八に関する資料が展示されています。

外部リンク

中村長八神父 ―ブラジルへの最初の日本人宣教師
日本人移住百周年と中村長八神父列福運動
特集：ブラジル日系移民の使徒 中村長八神父
五島の誇り、中村長八神父
* 中村長八神父列福調査のためにお祈りください

中村長八神父への祈り

神よ、あなたは限りない慈しみをもって、あなたの僕ドミンゴス・中村長八神父に数多くの恵みを与えてくださいました。彼は牧者、旅する宣教者として、隣人への愛のため、遠い道程を厭わず、福音の奉仕と人々の回心と魂の救いのために何百の村落を巡りました。彼の謙遜、清貧、労働の模範にあやかる望みを私たちのうちに燃え上がらせてください。信仰と希望と愛徳を増し、私たちが強く望んでいるお恵みを与えてくださいますように。アーメン。

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