ドリームキャストは、
セガ・エンタープライゼス(後の
セガゲームス)が1998年に発売した家庭用ゲーム機です。アーケードゲームに匹敵する性能と、当時としては画期的だったネットワーク機能を搭載し、数々の名作ゲームを世に送り出しました。
発売ソフトの形態と変遷
ドリームキャストは、アーケードゲーム基板
NAOMIとの互換性を持っていました。これにより、アーケードゲームの移植が容易になり、『
デッド オア アライブ2』のように、アーケード版稼働からわずか2か月後に
ドリームキャストに移植されるタイトルも存在しました。また、
ビジュアルメモリを介してアーケードゲームとの連携も可能にするなど、独自の試みも行われました。
独自規格の
GD-ROMを採用し、CD-ROMを上回る約1GBの容量を実現。これにより、よりリッチなゲーム体験を提供することができました。
ネットワーク機能の搭載
ドリームキャストには、インターネットを用いた通信機能が標準搭載されました。前世代機でもネットワークを介したゲームは可能でしたが、従量課金制がネックとなり普及には至りませんでした。しかし、
ドリームキャストの時代には
テレホーダイが普及し始め、『あつまれ!ぐるぐる温泉』や『
ファンタシースターオンライン』といった
オンラインゲームが人気を博しました。ただし、
アナログ回線から
ISDNへの移行期であり、通信料金も高価だったため、爆発的な普及には至りませんでした。
ソフトメーカーの参入
セガサターンの反省から、ソフトメーカーが参加しやすい環境づくりが行われました。その結果、PlayStationのソフトが頭打ちになったこともあり、
セガサターン立ち上げ時の2倍となる約320社から
ドリームキャスト開発の賛同を得ることができました。
ゲームファン以外にもアピールするソフトも登場しました。『
シーマン 〜禁断のペット〜』は、マイクを使って人面魚「
シーマン」とコミュニケーションをとるという斬新な内容で話題を呼びました。一方で、『デスピリア』や『REVIVE... 〜蘇生〜』のように、過激な暴力表現を含む作品も存在しました。
次世代機戦争と終焉
ドリームキャストは、PlayStation、
NINTENDO 64といった前世代機の中で、いち早く次世代機として登場しました。しかし、発売初期は3DCGの要となるチップの供給が追い付かず、主要ソフトの発売延期が相次ぎました。1998年12月には『
ソニックアドベンチャー』が発売され、
ドリームキャスト向けにデザインが刷新されたソニックは「モダンソニック」と呼ばれ、その後のシリーズに大きな影響を与えました。
PlayStationのシェアを奪うことはできず、DVD-ROMを搭載した
PlayStation 2が登場すると、その差は広がる一方でした。
2001年1月31日、
セガはハードウェアビジネスからの撤退を発表。
ドリームキャスト本体の製造を同年3月31日に中止し、サードパーティへと転向しました。その後も、
セガは『
スペースチャンネル5』シリーズを
PlayStation 2で展開したり、『チューチューロケット!』などの作品を
ゲームボーイアドバンスのローンチタイトルとして投入するなど、ソフトウェアメーカーとして活動を続けました。
本体製造中止後も、新規タイトルの供給は続けられました。
NScripter採用作品を
ドリームキャストに移植する試みも行われましたが、
GD-ROMの読み込みや動作音が問題視され、普及には至りませんでした。2000年代半ばに入ると
ドリームキャストの市場は終焉を迎えましたが、「
ドリームキャスト最後のソフト」を謳うソフトが何度か登場し、日本におけるライセンスタイトルとしては2007年3月8日発売の『カラス』まで新作タイトルが供給されました。
プラットフォームとしての展開終了後
ドリームキャストのゲームタイトルは、
PlayStation NetworkやXbox LIVEといったダウンロード配信サービスを通じて展開されました。しかし、オンラインサービスの終了に伴い、追加コンテンツがダウンロードできなくなってしまった作品も存在します。また、
GD-ROMの特殊性から移植が困難な作品も存在します。
非売品・非ライセンスタイトル
ドリームキャストには、市販されなかった非売品や、ライセンスを受けていない非ライセンスタイトルも存在します。「Hello Kitty
ドリームキャストセット」に付属した『
ハローキティのガーデンパニック』や、デモ集である「Dreamcast Generator Vol. 1: Playable Bits and Video Clips」などがその例です。
ドリームキャストは、短い期間で市場から姿を消しましたが、その革新的な技術と魅力的なゲームタイトルは、今も多くのファンに愛されています。