ドリームチーム (バスケットボール)

ドリームチーム：バスケットボール界の伝説

1992年、バルセロナオリンピックにバスケットボール男子アメリカ合衆国代表として出場した「ドリームチーム」は、その圧倒的な強さで世界を魅了しました。NBAの現役スター選手たちが初めて代表入りし、クリスチャン・レイトナーを除き、選出メンバー全員がバスケットボール殿堂入りを果たした、まさに「夢のチーム」でした。

ESPNは、このチームを「史上最高のスポーツチーム」と評し、ネイスミス・メモリアル・バスケットボール殿堂は「この世のバスケットボールの才能の最高のコレクション」と称賛しました。オリンピック本選では、平均44点差という驚異的なスコアで他国を圧倒し、決勝ではクロアチアを破って金メダルを獲得しました。

ドリームチーム結成の背景

1988年のソウルオリンピックで、大学生主体の代表チームが銅メダルに終わったことが、プロ選手の参加を求める声の高まりにつながりました。国際バスケットボール連盟（FIBA）会長のボリスラヴ・スタンコヴィッチもプロ参加を強く主張し、1989年4月、ついにプロ選手のオリンピック参加が認められることになったのです。

当初、NBA側はオリンピックへの選手派遣に消極的でしたが、スポーツ・イラストレイテッド誌が1991年2月18日号の表紙で、翌年のバルセロナオリンピック代表チームを「ドリームチーム」と名付けたことで、状況は一変しました。

伝説のメンバー

1991年9月21日、全国放送のテレビでドリームチームの最初の10選手が発表されました。マイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、ジョン・ストックトン、カール・マローン、マジック・ジョンソン、ラリー・バード、パトリック・ユーイング、クリス・マリン、デビッド・ロビンソン、チャールズ・バークレーという、当時のNBAを代表するスーパースターたちが名を連ねました。

マジック・ジョンソンは、HIV感染を理由に現役引退を表明しましたが、ドリームチームに参加。また、ユーイング、ジョーダン、マリンは1984年のロサンゼルスオリンピックで金メダルを獲得しており、マローンにとっては2度目の選出機会となりました。

最後の1枠は、クライド・ドレクスラーとアイザイア・トーマスの争いとなりましたが、最終的にドレクスラーと大学生のクリスチャン・レイトナーが選ばれ、ドリームチームのメンバーが確定しました。

圧倒的な強さ

ドリームチームは、1992年6月24日に行われた大学生選抜との練習試合で、まさかの敗北を喫しました。しかし、これはヘッドコーチのチャック・デイリーが、選手たちに慢心させないために意図的に仕組んだものだったと言われています。

その後、ドリームチームはアメリカ大陸予選で圧倒的な強さを見せつけ、バルセロナオリンピック本選でも、出場した全試合で100点以上を記録。平均得点は117.3点と、過去のオリンピック代表チームを大きく上回りました。

決勝戦では、クロアチアを117対85で破り、見事金メダルを獲得。その圧倒的な強さは、世界中のバスケットボールファンを魅了しました。

ドリームチームが残した功績

ドリームチームの活躍は、バスケットボールの世界的な人気を高め、NBAの国際化を加速させました。また、MLBやNFLでドーピング問題が取り沙汰される中、NBAがオリンピックに一流選手を派遣したことで、バスケットボールが健全なスポーツであるというイメージを確立しました。

国際オリンピック委員会（IOC）会長のフアン・アントニオ・サマランチは、「バルセロナ大会の最も重要な側面は、バスケットボール競技が大成功を収めたこと」と述べています。

後世への影響

ドリームチームは、2010年にネイスミス・メモリアル・バスケットボール殿堂入りを果たしました。また、2012年までに、選手12人中11人が個人としても殿堂入りしています。

コービー・ブライアントやレブロン・ジェームズは、2012年のロンドンオリンピック代表チームがドリームチームに勝てると発言しましたが、チャールズ・バークレーやマイケル・ジョーダンは異議を唱えました。バラク・オバマ大統領も、「元祖ドリームチームを支持する」とコメントしています。

ドリームチームは、バスケットボールの歴史において、特別な存在であり、その功績は永遠に語り継がれるでしょう。

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