ドリームランド (イエロージャケッツのアルバム)

イエロージャケッツ『ドリームランド』

1995年、アメリカを代表するフュージョン・バンド、イエロージャケッツは、彼らのキャリアにおいて重要な意味を持つスタジオ・アルバム『ドリームランド（Dreamland）』をリリースしました。この作品は、かつて彼らが所属していたワーナー・ブラザース・レコードからのリリースであり、以前のレーベルであるGRPレコードでの活動を経て、古巣への復帰第一弾として注目されました。

長年フュージョン・シーンを牽引してきたイエロージャケッツは、本作でもその洗練されたサウンドを披露しています。バンドの核をなすメンバーは、リリカルなピアノとシンセサイザーで彩るサウンドメイカー、ラッセル・フェランテ（キーボード）、グルーヴィーかつメロディアスなベースラインで楽曲を支えるジミー・ハスリップ（ベース）、堅実でダイナミックなドラミングでバンドの心臓部となるウィリアム・ケネディ（ドラムス）、そしてサクソフォーン、クラリネット、バス・クラリネットなどを巧みに操り、バンドに色彩豊かなハーモニーとソロを提供するボブ・ミンツァー（サクソフォーン他）です。彼ら四人の緊密な連携が、イエロージャケッツならではのユニークな音楽性を生み出しています。

本作には、彼らレギュラーメンバーに加え、豪華なゲストミュージシャンが参加し、アルバムにさらなる深みを与えています。トランペット奏者のチャック・フィンドレーは、収録曲のうち「トラック1」と「トラック7」でトランペットを、そして「トラック5」ではトランペットとトロンボーンの両方を担当し、楽曲にブラスセクションの華やかさを加えています。パーカッション奏者のルイス・コンテは、「トラック1」と「トラック4」に参加し、リズミカルな彩りを添えています。

そして特筆すべきは、ヴォーカリストであり独自の音楽世界を持つボビー・マクファーリンの参加です。彼は「トラック3」に収録された楽曲「Summer Song」で、ヴォーカルとパーカッションを担当しました。ボビー・マクファーリンの独創的なヴォーカルとパーカッションは、この曲に予期せぬ驚きと豊かな表現力をもたらし、アルバムの中でも特に印象的な瞬間の一つとなっています。

『ドリームランド』は商業的にも成功を収め、アメリカのビルボードが発表する「Top Contemporary Jazz Albums chart」では最高12位を記録しました。これは、当時のコンテンポラリー・ジャズ/フュージョン界におけるイエロージャケッツの人気の高さを裏付けるものです。

このアルバムは、イエロージャケッツのキャリアにおいて、レーベル移籍という大きな節目を飾る作品であり、彼らの成熟したアンサンブルと新たな試みが融合した一枚と言えるでしょう。質の高い演奏とゲストミュージシャンとのコラボレーションが光る『ドリームランド』は、イエロージャケッツの豊かなディスコグラフィーの中でも、聴きごたえのある作品として位置づけられています。それは、バンドの安定した創造力と、変化を恐れない探求心の証でもあります。

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