イエロージャケッツ

イエロージャケッツとは

イエロージャケッツ（Yellowjackets）は、1981年にアメリカ合衆国で結成されたジャズ・フュージョン・グループです。グループ名は英語で「スズメバチ」を意味しており、その鋭く洗練されたサウンドを彷彿とさせます。

結成とその黎明期

グループの起源は、ギタリストのロベン・フォードが1978年に発表したソロ・アルバム『ギターに愛を (The Inside Story)』に遡ります。このアルバムの制作に、キーボーディストのラッセル・フェランテ、ベーシストのジミー・ハスリップ、そしてドラマーのリッキー・ローソンが参加し、彼らの共演が新しい音楽的可能性を示唆しました。これが契機となり、1981年にイエロージャケッツとして本格的に活動を開始。同年にワーナー・ブラザース・レコードと契約し、セルフタイトル作でデビューを飾りました。

初期のイエロージャケッツはフォードがサウンドの中心を担っていましたが、彼は3枚のアルバムに参加した後、1983年発表の『マリブの旋風』にも数曲関与したのを最後にグループを離れます。この時期にはサックス奏者のリチャード・エリオットも一時的に参加していました。フォード脱退後、グループはサックス奏者としてマーク・ルッソを迎え、1985年のアルバム『サムライ・サンバ』では歌手のボビー・コールドウェルをゲストに招くなど、新たなサウンドを模索しました。

レーベル移籍とサウンドの変遷

1986年、4枚目のアルバム『シェイズ』を機にMCAレコードへ移籍。この時期、中心メンバーであったドラマーのリッキー・ローソンがライオネル・リッチーのツアー参加のため脱退し、後任としてウィリアム・ケネディが加入します。このメンバーで制作された1988年のアルバム『ポリティックス』は、グループに初のグラミー賞（ベスト・フュージョン・パフォーマンス部門）をもたらしました。

1990年にはMCAがジャズ専門レーベルであるGRPレコードを買収したことで、イエロージャケッツはGRP所属のアーティストとなります。この頃、マーク・ルッソに代わりサックス奏者のボブ・ミンツァーが加入。ミンツァーの参加はグループの音楽性に大きな変化をもたらし、よりコンテンポラリー・ジャズやストレート・アヘッドな要素を取り入れた作品を発表するようになります。1990年のアルバム『スピン』はその転換点とも言える作品です。

再びのワーナー、そしてその後の活動

1995年、イエロージャケッツは古巣であるワーナー・ブラザースに復帰し、アルバム『ドリームランド』をリリース。この時期のサウンドは、よりリラックスした、流麗な雰囲気を纏っていました。1998年の『クラブ・ノクターン』では、ブレンダ・ラッセルやカート・エリングといったボーカリスト、ギタリストのジョナサン・バトラーなど、多様なゲストを迎えて制作されました。

メンバーチェンジはその後も続き、1999年にドラマーがウィリアム・ケネディからピーター・アースキンに交代しますが、アースキンは短期間で脱退。2000年にはトリオ編成での活動も行い、テリ・リン・キャリントンやマーカス・ベイラーがサポート・ドラマーとして参加しました。

新たなレーベルでの展開と現在のラインナップ

2001年、イエロージャケッツはヘッズ・アップ・インターナショナルへ移籍し、サポートとして関わっていたマーカス・ベイラーを正式メンバーとして迎え入れます。移籍第一弾としてライブ・アルバム『ミント・ジャム』を発表。その後も精力的に活動し、結成25周年記念アルバム『トゥエンティ・ファイヴ』（2006年）、ギタリストのマイク・スターンをゲストに迎えた『ライフサイクル』（2008年）などをリリースしました。

2010年には、かつてドラマーを務めたウィリアム・ケネディが復帰。同年、マック・アヴェニュー・レコードへの移籍を発表しました。翌2011年には結成30周年を祝い、初代ギタリストのロベン・フォードをゲストに招いた記念アルバム『タイムライン』を発表。

長年ベーシストを務めたジミー・ハスリップが2012年に脱退し、後任にはジャコ・パストリアスの息子であるフェリックス・パストリアスが加入しましたが、彼は2015年に脱退。現在はオーストラリア出身のベーシスト、デーン・アルダーソンがグループに加わっています。キーボードのラッセル・フェランテ、サックスのボブ・ミンツァー、ドラムのウィリアム・ケネディ、ベースのデーン・アルダーソンというラインナップで、彼らは現在も世界中のジャズ・フュージョン・シーンで重要な存在として活動を続けています。

もう一度検索