ドルノド県

ドルノド県：モンゴル最東部の自然と文化が息づく地

ドルノド県は、モンゴル国の最東部に位置する県であり、チョイバルサン市を県都としています。首都ウランバートルから東へ約600kmの距離にあり、その地理的な特徴から、多様な自然と文化が育まれてきました。

地理と地形

ドルノド県は、広大なステップ地帯と山岳地帯が混在する地形を有しています。北西部にはヘンティー山脈の支脈が広がり、県中央部にはヘルレン川が西から東へと流れ、中国のフルン湖に注いでいます。その他にも、オノン川、ウルズ川、ハルハ川など、複数の河川が県内を流れ、ブイル湖やバルン・トレイ湖などの湖沼も点在しています。これらの水資源は、県内の生態系を支える重要な役割を果たしています。

気候は、県北部の一部が亜寒帯冬季少雨気候、その他の地域はステップ気候となっており、地域によって植生も異なります。北部山岳地では山岳タイガが、丘陵地では山地混交林・ステップが見られ、平原は広大なステップが広がっています。

自然保護区

ドルノド県には、モンゴルダグーリ厳正保護区という重要な自然保護区があります。この保護区は、ウルズ川下流域の湿地帯と丘陵地を保護しており、モウコガゼルやツル類など、希少な野生生物が生息しています。また、ユネスコ・人間と生物圏プログラムの生物圏保護区やラムサール条約登録地にも指定されており、国際的にも重要な地域として認識されています。

民族分布

ドルノド県は、モンゴル国内でも特に民族的な多様性が豊かな地域です。県の中部から南部にかけてはハルハ族が広く分布しており、県北部や県都チョイバルサン市にはブリヤート族が居住しています。その他にも、バルガ族、ウゼムチン族、ハムニガン族など、少数民族も暮らしており、それぞれの文化や伝統が共存しています。遊牧民は、県内に分散して生活しており、その生活様式は今もなお、この地の文化を色濃く反映しています。

産業

ドルノド県の主要産業は、鉱業と農業です。県内には、アドチチョローン炭鉱をはじめとする炭鉱があり、褐炭が採掘されています。また、タムサグ油田では原油の生産が行われており、ウラン鉱床も複数確認されています。これらの鉱物資源は、モンゴル経済において重要な役割を担っています。農業では、家畜の飼育が盛んで、遊牧民の生活を支えています。

交通

ドルノド県へのアクセスは、主に航空機、鉄道、バス、自動車による移動手段があります。ウランバートルからチョイバルサン市へは、国内定期便が週2便運航しており、鉄道はシベリア鉄道支線が県都まで敷設されています。長距離バスも運行されており、所要時間は約12時間です。また、道路はウランバートルからウンドゥルハーンまでは舗装されていますが、それ以東は未舗装区間が多いため、オフロード車での移動が必要となる場合があります。

歴史と文化

ドルノド県には、バルス・ホト遺跡やイフブルハン岩像など、歴史的な遺跡や文化財が点在しています。また、ノモンハン事件の戦跡や戦勝記念博物館もあり、歴史を学ぶことができます。県都チョイバルサン市内には、ドルノド県博物館があり、民俗や郷土史に関する展示を見ることができます。

行政区分

ドルノド県は、14の郡に区分されています。バヤンドン郡、バヤントゥメン郡、バヤンオール郡、ボルガン郡、ゴルワンザガル郡、ダシバルバル郡、マタド郡、セルゲレン郡、ハルハゴル郡、ホロンボイル郡、ヘルレン郡（県庁所在地チョイバルサン市）、ツァガーンオボー郡、チョイバルサン郡、チョローンホロート郡です。

著名な出身者

ドルノド県出身者として、大相撲力士の霧島鐵力が知られています。

ドルノド県は、その広大な大地と豊かな自然、そして多様な文化が共存する魅力的な地域です。歴史や文化、自然に触れながら、モンゴルの魅力を深く感じることができるでしょう。

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