ドン軍集団

ドン軍集団（Heeresgruppe Don）

ドン軍集団は、第二次世界大戦中の1942年にドイツ国防軍が編成した軍集団であり、特にスターリングラード攻防戦において重要な役割を果たしました。この軍集団の設立は、戦局が極めて厳しくなったことを背景にしています。

背景

1942年6月28日、ドイツ軍はブラウ作戦を開始しました。これにより従来の南方軍集団は再編され、A軍集団とB軍集団が新たに設立されました。A軍集団はカフカースの油田地帯の制圧を目指し、B軍集団はスターリングラードを占領することを目標としていました。しかし、両軍団はその目標を達成することができず、戦局は悪化の一途をたどりました。

1942年11月19日、ソビエト赤軍はウラヌス作戦を開始し、スターリングラード周辺での反攻を強化しました。この攻撃によって、ドイツ軍およびルーマニア軍などからなる枢軸軍は撤退を余儀なくされ、スターリングラードは孤立状態に陥りました。この状況を重く見たヒトラーは、ドン軍集団の編成を命じ、エーリッヒ・フォン・マンシュタインを司令官に任命しました。

構成と役割

1942年11月22日、ドン軍集団は解散した第11軍の司令部を基に新たに設立されました。司令官にはマンシュタインが就任し、戦力として第6軍の予備部隊である第62、294、336歩兵師団が配置され、さらに本国から第11装甲師団とフランスから第6装甲師団が追加されました。

マンシュタインは、崩壊が進む戦線を再構築し、ドン川周辺の防衛を固めることに専念しました。また、ルーマニア第3軍の参謀ヴァルター・ヴェンクが指揮を取る中で、南岸の戦線を安定化させ、ドン軍集団は第6軍の救出に向けた準備を整えました。これにより、戦局の最悪の状況を乗り越える機会を模索することが可能となりました。

しかし、ヒトラーはドン軍集団から提案された二つの作戦のうち、特にスターリングラードを放棄する「雷鳴作戦」を拒否しました。この判断が、第6軍の救出の可能性を完全に潰す結果となり、戦局はさらに厳しいものとなりました。

結論

1943年2月12日、ドン軍集団は南方軍集団に改編され、新たな状況に適応するために再編成が行われました。ドン軍集団は、ポーランド及びソビエトでの戦闘において重要な役割を果たしたものの、持続的な勝利を収めることはできず、その活動は短期間で終わりを迎えることとなりました。

文献

• - 「歴史群像アーカイブ 独ソ戦」学習研究社
• - 内田 弘樹 (著), EXCEL (イラスト) 『どくそせん』イカロス出版

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