ナゴルノ・カラバフ国防軍

ナゴルノ・カラバフ国防軍は、国際的に承認されていないアルツァフ共和国（通称ナゴルノ・カラバフ）の事実上の国軍です。この軍隊は、ナゴルノ・カラバフ戦争中に形成された自警団を基盤として発展しました。兵力は約2万人で、そのうち約8500人がナゴルノ・カラバフ出身者です。さらに、約3万人の予備役兵力を動員する能力を持っています。国防費は、同地域のGNPの約20パーセントを占めています。

この国防軍は、アルメニア共和国軍と密接に統合されており、両軍間での人事交流も行われていました。しかし、2023年9月19日、アゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフからのアルメニア軍の撤退と軍事インフラの無力化を目的とした軍事行動を開始しました。その結果、20日にはアルツァフ大統領府が、ロシアの仲介による停戦を受け入れ、アルメニア軍の撤退、武装組織の解散、そして完全武装解除に合意したと発表しました。

組織構成

ナゴルノ・カラバフ国防軍は、陸軍、空軍、そして防空軍の3つの軍種で構成されています。

陸軍

陸軍は総勢約1万6千人で、8から12個の連隊に編成されています。各連隊は、それぞれ強化された地区（要塞地区）を担当しています。

陸軍の装備は以下の通りです。

戦車：177-316両（3種類）
装甲戦闘車両：256-324両
火砲：291-322門（BM-21多連装ロケット砲を26-44門含む）
対戦車火器：72基

各連隊は、国内の重要な高地を確保しつつ、ムラフ高地からアラクス川にかけて縦深防御網を構築しています。この防御網には、数十キロメートルに及ぶ地雷原「オハニャン・ライン」が含まれています。

空軍（航空隊）

空軍は総員250人以下で、ステパナケルトの「ホジャル」空港を主要基地としています。アグラムとカパンの飛行場も利用可能です。また、ゴリス郊外にはヘリポートが存在します。

空軍の装備は以下の通りです。

Su-25攻撃機：2機
Mi-24攻撃ヘリコプター：4機
Mi-8輸送ヘリコプター：5機
多数のUAV（無人航空機、Krunk、Baze、ハーピーなど）

防空部隊

防空部隊は、ステパナケルト地区に配置された高射ミサイル連隊で構成され、アルメニア空軍の防空システムに統合されています。

防空部隊の装備は以下の通りです。

S-125地対空ミサイルシステム
2K11地対空ミサイルシステム：4基
9K33M2 オサーAK地対空ミサイルシステム：8基
ZSU-23-4自走対空砲：4基
S-300PT地対空ミサイルシステム：2007年末に1基が配備

徴兵制度

兵役期間は2年間です。

教育制度

将校の教育は、国内で行われる他、アルメニアのエレバン軍事大学やロシアの軍事教育施設でも行われています。

階級

ナゴルノ・カラバフ国防軍の階級は以下の通りです。

大将
中将
少将
大佐
中佐
少佐
大尉
上級中尉
中尉
少尉
上級准尉
准尉
曹長
上等軍曹
軍曹
伍長
上等兵
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