ナサニエル (競走馬)

ナサニエル：競走馬から種牡馬へ至る輝かしい軌跡

2008年4月24日生まれの鹿毛の競走馬、ナサニエル。その競走生活は、華々しい勝利と惜しまれる引退、そして種牡馬としての成功と、ドラマチックな展開を見せています。

競走馬時代の活躍

2010年、2歳でデビューしたナサニエルは、初戦こそフランケルに敗れ2着という結果に終わりますが、持ち前の才能を徐々に開花させていきます。2歳時は2戦とも2着と惜しくも勝利を逃しましたが、3歳になると、いよいよその実力を発揮し始めます。3歳初戦のメイドン戦（未勝利戦）を制し、勢いに乗ると、続くG2キングエドワード7世ステークスでは5馬身差という圧倒的な強さで勝利を収めます。

そして、その勢いをそのままに挑んだのが、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスです。7万5千ポンドもの高額な追加登録料を支払って参戦したこのレースで、強豪ワークフォースやセントニコラスアビーらを抑え、見事優勝を飾りました。この勝利は、ナサニエルの競走馬としての地位を確固たるものにしたと言えるでしょう。

さらに4歳時には、エクリプスステークスも制覇。名実ともに英国を代表するトップホースとしての地位を確立しました。秋には凱旋門賞への挑戦も予定されていましたが、残念ながら熱発のため回避。その後、2012年のチャンピオンステークスで3着に入った後、競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。

種牡馬としての成功

競走馬引退後は、ハートフォードシャー州のニューセルズパーク牧場で種牡馬としての生活を送ることになりました。そして、ナサニエルの産駒たちは、父譲りの才能を受け継ぎ、数々のレースで活躍を見せます。特に注目すべきはその代表産駒であるエネイブルです。

エネイブルは、2017年のオークスステークスを皮切りに、数々のG1レースを制覇。アイリッシュオークス、ヨークシャーオークス、そしてキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを3勝。さらに凱旋門賞を2連覇、ブリーダーズカップターフも制するなど、G1を11勝という驚異的な記録を達成しました。エネイブルの活躍は、ナサニエルという種牡馬の偉大さを証明するものであり、彼の血統の素晴らしさを世界に知らしめることとなりました。

エネイブル以外にも、ナサニエルの産駒からは多くの活躍馬が輩出されています。2014年産にはリディアテシオ賞を制したGod Given、2016年産にはディアヌ賞を制したChannel、ナッソーステークスを制したLady Bowthorpe、E.P.テイラーステークスを制したMutamakinaなどがいます。さらに、2017年産にはグッドウッドカップを制したQuickthorn、2019年産にはダービーステークスを制したDesert Crown、ブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリーズ&メアズステークスを制したPoptronicなどがいます。そして2021年産には、アイリッシュオークスを制したYou Got To Meがいます。これらの活躍馬たちは、ナサニエルの遺伝子の素晴らしさを改めて示しています。

ナサニエルは、競走馬として、そして種牡馬として、競馬界に大きな足跡を残した名馬と言えるでしょう。その輝かしい功績は、これからも長く語り継がれていくことでしょう。

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