ナス属

ナス属（Solanum）は、ナス科に属する非常に多様な植物群であり、その種類は千数百種に及びます。熱帯・亜熱帯地域に広く分布しており、特にアメリカ大陸に多くの種が見られます。この属には、食用として重要なナス、ジャガイモ、トマトなどが含まれています。

特徴

ナス属の植物は、草本または低木であり、つる性のものも存在します。茎や葉にトゲを持つ種（例：ワルナスビ）があるのも特徴です。花の色は多様で、白、青、紫、黄などがあります。果実は液果であり、黄、赤、紫、黒などに熟します。

花冠は幅状または鐘形で、葯の先端には孔があり、花柱を取り巻くように配置されます。萼は花後に肥大して果実を包むことはありません。

分類と系統

近年、分子系統解析によってナス属の内部系統関係が明らかになってきました。その結果、トマトが従来のトマト属（Lycopersicon）からナス属に内包されることになりました。

以下は、分子系統解析に基づくナス属内部の系統関係の一例です。

Potato clade
Leptostemonum clade

主なナス属の植物

アカウレ Solanum acaule Bitt.
ジロ Solanum aethiopicum L.
タマリロ Solanum betaceum Cav.
ツルハナナス S. jasminoides Paxt.
トマト S. lycopersicum L. （シノニム：Lycopersicon esculentum）
ツノナス Solanum mammosum L.
ナス S. melongena L.
ペピーノ S. muricatum Aiton
イヌホオズキ S. nigrum L.
タマサンゴ Solanum pseudocapsicum L.
アメリカイヌホオズキ Solanum ptychanthum Dunal
ジャガイモ S. tuberosum L.

日本の自生種

日本には、以下のナス属植物が自生しています。

キンギンナスビ S. aculeatissimum Jacq.
メジロホオズキ S. biflorum Lour.
ワルナスビ S. carolinense L.
ヤンバルナスビ S. erianthum D. Don
ヤマホロシ S. japonense Nakai
ヒヨドリジョウゴ S. lyratum Thunb.
マルバノホロシ S. maximowiczii Koidz.
オオマルバノホロシ S. megacarpum Koidz.
イヌホオズキ S. nigrum L.
テリミノイヌホオズキ S. nodiflorum Jacq.

利用と注意

ナス属の植物は、食用としてだけでなく、観賞用としても利用されています。ツルハナナスなどの花や、ツノナス、タマサンゴなどの果実は、観賞価値が高いです。しかし、ナス属の植物にはアルカロイドを含むものが多く、食用にしない種には有毒なものも多いため、注意が必要です。

特に、園芸目的で栽培されているタマサンゴは、子供が誤って口にしないよう注意が必要です。

ナス属は、私たちの生活に深く関わる多様な植物群であり、その利用価値は非常に高いと言えるでしょう。

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