ナターシャ・ピルツ・ムサール

ナターシャ・ピルツ・ムサール（Nataša Pirc Musar）は、スロベニアの弁護士、作家、そして元ジャーナリストであり、政治家としても活躍しています。2022年12月からはスロベニアの大統領を務めています。彼女は以前、ドナルド・トランプ前大統領の妻であるメラニア・トランプの専属弁護士、そしてスロベニア赤十字社の社長を務めていました。

2022年のスロベニア大統領選挙では、元外務大臣のアンジェ・ロガールを破り、同年12月23日にスロベニア初の女性大統領として就任しました。

来歴

1992年、リュブリャナ大学法学部で法学を修了。欧州司法裁判所長官の一人であるマルコ・イレシッチの指導を受けました。1997年に司法試験に合格後、公共放送であるスロベニアラジオテレビジョンの報道番組「ドネヴニクTV」のキャスターを6年間務めたほか、民放のポップテレビで報道番組「24時間」のキャスターを5年間務めました。2001年には、現在の夫であるアレシュ・ムサールが勤務するアクティバグループの企業コミュニケーション部門の責任者となりました。その後、アトランタのCNNやBBC、Sky Newsで研修を受け、2015年にはプライバシー及び情報公開の公正の均整に関する論文でウィーン大学法学部の博士号を取得しました。

法律家として

スロベニア最高裁判所の教育情報センター所長を歴任後、2004年から10年間、欧州刑事警察機構の情報コミッショナーとして勤務しました。情報コミッショナー退任後は2016年に法律事務所「Pirc Musar & Lemut Strle」を開設。2017年から数年間、メラニア・トランプ専属の弁護士を務めました。2010年から2021年まで、スロベニアで最も影響力のある弁護士トップ10に選ばれました。公正な知識を促進するために、女性法律専門家4人で「オナベ協会」を設立。情報の自由、プライバシーに関する本を英語、スロベニア語、クロアチア語で数冊執筆しています。

政治活動

2022年6月23日に同年の大統領選挙への立候補を発表。立候補者の中でムサールが最初に大統領選挙への立候補を表明したことで、ミラン・クーチャンやダニロ・テュルクなどの歴代大統領からも支持されました。選挙の公約として生物多様性の保全、NATOへの参加、介護政策を備えた年金改革への推進を掲げました。同年6月末に立候補を表明した大統領選挙の対抗馬である「オナベ協会」の創設メンバーで元ドイツ駐在スロベニア大使であったマルタ・コスとの不仲説について、メディアに追及されましたが、互いに友人であると宣言。選挙後はオナベ協会も精力的に取り組むと述べました。しかし、対抗馬のマルタ・コスは9月に大統領への立候補を取り消しました。

その後、ムサールの支持率は急増し、11月の大統領選挙での最後の2人の候補となりました。11月23日の選挙で元外務大臣であるアンジェ・ロガールを53.89%対46.11%で破り、女性大統領として選出されることが確定しました。12月23日に大統領官邸でボルト・パホルに出迎えられ、大統領移譲式を行いました。

私生活

アレシュ・ムサールとの間に息子が1人います。現在は製造されていないロールス・ロイス製のロールス・ロイス・ファントムVIを所有しています。

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