ボルト・パホル

ボルト・パホル：スロベニアの政治を牽引したリーダー

ボルト・パホル（Borut Pahor）は、1963年11月2日生まれのスロベニアの政治家です。彼は、2012年12月から2022年12月までスロベニアの大統領を務め、2008年11月から2012年2月まで首相を務めました。社会民主党の代表として、彼はスロベニアの政治において重要な役割を果たしました。

生い立ちと教育

パホルは、ユーゴスラビアのスロベニア社会主義共和国のポストイナで生まれ、ノヴァ・ゴリツァで幼少期を過ごしました。幼くして父親を亡くし、母親のイヴァ・パホル・マルテランツ（ナチス強制収容所の生存者）に育てられました。ノヴァ・ゴリツァ高校を卒業後、リュブリャナ大学で公共政策と政治学を学びました。1987年には、非同盟諸国間の平和交渉に関する論文で卒業し、プレシェレン学生賞を受賞しました。

政治 करियर

パホルは高校時代から政治活動に参加し、スロベニア社会主義青年同盟の高校生支部委員長を務めました。大学生時代にはスロベニア共産主義者連盟に入党し、1987年にはスロベニア社会主義青年同盟の大学支部代表に立候補しました。1980年代末には、ミラン・クーチャンやツィリル・リビチッチなどの共産党改革派の支援を受け、頭角を現しました。

1988年、リュブリャナ裁判をきっかけとする政治危機のさなか、パホルはスロベニアにおける党の一党独裁の放棄を提案し、政治多元主義への道を拓きました。1990年、スロベニア初の自由選挙で国会議員に選出され、共産主義の過去との決別や自由市場経済の導入を主張しました。1997年には、第三の道-中道主義プラットフォームの代表となりました。

国民議会議長と欧州議会議員

2000年、パホルは国民議会議長に選出され、党外で初めての重職を務めました。彼は穏健な議長として、中道右派の野党からも尊敬を受けました。2004年には欧州議会議員に選出され、予算監査委員会に所属し、リスボン条約の交渉にあたりました。

首相として

2008年、社会民主党が国民議会選挙で勝利すると、パホルは首相に任命されました。彼は、世界的な経済危機に直面しながら、経済改革を推進し、クロアチアとの国境問題に関する仲裁合意のための国民投票を成功させました。しかし、連立パートナーとの緊張が高まり、2011年には内閣不信任決議が可決され、政権は崩壊しました。

大統領として

2012年6月、パホルは大統領への立候補を表明し、12月の決選投票で現職のダニロ・テュルク大統領を破り、当選しました。彼はスロベニア史上最年少の大統領であり、国民議会議長、首相、大統領の三つの要職を務めた唯一の政治家です。大統領として、彼は国民の信頼と尊敬を集め、国の団結を促進しました。2017年の大統領選挙でも再選され、2期目を務めました。

人物像

パホルは、妻のタニャ・ペチャルとの間に一男ルカがいます。スロベニア語に加えて、英語、フランス語、イタリア語、セルビア語、クロアチア語に堪能です。

ボルト・パホルは、スロベニアの政治史において、重要な役割を果たした人物として記憶されるでしょう。

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