ナッシュヴィル交響楽団

ナッシュビル交響楽団：音楽の都を彩るオーケストラ

ナッシュビル交響楽団（Nashville Symphony）は、アメリカ合衆国テネシー州の州都ナッシュビルを本拠地とする、歴史と実績のあるオーケストラです。年間140回もの公演を通じて、地域社会に豊かな音楽体験を提供し続けています。

歴史

その起源は1920年、地元の音楽家たちが集まり結成したオーケストラに遡ります。しかし、世界恐慌の影響を受け、一時活動を中断。1945年、第二次世界大戦から帰還したウォルター・シャープが中心となり、新たなシンフォニーの創立を目指し、地元有力者の協力を得て、1946年にナッシュビル・シンフォニーが正式に創立されました。

初代音楽監督には、ニューヨークからウィリアム・ストリックランドが迎えられ、その後の発展の基礎を築きました。その後、ガイ・テイラー、ウィリス・ペイジ、ソア・ジョンソン、マイケル・チャリーといった音楽監督たちが楽団を率い、1983年からはケネス・スカマホンが22年という長期にわたり音楽監督を務め、楽団の知名度を飛躍的に向上させました。スカマホンの没後、レナード・スラットキンが芸術顧問として楽団を支え、2009年からはジャンカルロ・ゲレーロが音楽監督に就任し、現在に至ります。

2006年には、ローラ・ターナー・コンサート・ホールを有するスカマホン・シンフォニー・センターが完成し、新たな本拠地となりました。このホールは、楽団の活動を大きく支える存在となっています。

歴代音楽監督

1946 - 1951：ウィリアム・ストリックランド
1951 - 1959：ガイ・テイラー
1959 - 1967：ウィリス・ペイジ
1967 - 1975：ソーア・ジョンソン
1976 - 1982：マイケル・チャリー
1983 - 2005：ケネス・スカマホン
2006 - 2009：レナード・スラットキン（芸術顧問）
2009 - 現在：ジャンカルロ・ゲレーロ

録音と受賞

ナッシュビル交響楽団は、ナクソス・レーベルを中心に、数多くの録音を行っています。2000年以降だけでも約20枚のアルバムをリリースし、グラミー賞にはのべ14部門にノミネートされ、これまでに7部門で受賞しています。特に、レナード・スラットキン指揮によるジョーン・タワーの作品集や、ジャンカルロ・ゲレーロ指揮によるマイケル・ドアティ作品集などが高く評価されています。

主な録音作品

アイヴズ、コープランド、ハリス他 『Abraham Lincoln Portraits』
ビーチ 『Beach: \"Gaelic\" Symphony; Piano Concerto 』
ベートーヴェン 『ミサ・ソレムニス』
ベートーヴェン 『交響曲第7番』
バーンスタイン 『Dybbuk / Fancy Free (complete ballets)』
バーンスタイン 『ウエスト・サイド物語』
カーター 『Carter: Symphony No. 1; Piano Concerto 』
チャドウィック 『Chadwick: Orchestral Works Thalia / Melpomene / Euterpe 』
コリリアーノ 『Corigliano: A Dylan Thomas Trilogy 』
ドアティ 『Daugherty: Metropolis Symphony; Deus ex Machina 』
ガーシュウィン 『Gershwin: Porgy and Bess (Original 1935 Production Version) 』
グールド 『Gould: Fall River Legend; Jekyll and Hyde Variations 』
ハンソン 『Hanson: Orchestral Works, Vol. 1 』
アイヴズ 『交響曲第2番』
メノッティ 『Menotti: Amahl and the Night Visitors 』
ムソルグスキー 『展覧会の絵 (スラットキン編)』
ラヴェル 『子供と魔法; シェヘラザード』
ライダーズ・イン・ザ・スカイ 『Riders in the Sky: Lassoed Live at the Schermerhorn 』
タワー 『Tower: Made in America / Tambor / Concerto for Orchestra 』
ヴィラ＝ロボス 『Villa-Lobos: Bachianas Brasileiras (Complete) 』

音楽教育と地域貢献

ナッシュビル交響楽団は、音楽教育にも力を入れています。2007年からは、「ミュージック・エジュケーション・シティ」というプログラムを立ち上げ、子供向けのコンサートや音楽教育、家族向けの教育プログラムなどを展開しています。また、「ワン・ノート、ワン・ネイバーフッド」という構想を通じて、公立学校での音楽教育を支援し、地域の音楽文化の発展に貢献しています。

ナッシュビル交響楽団は、その演奏活動だけでなく、音楽教育や地域貢献活動を通じて、ナッシュビルの音楽文化を支える重要な存在となっています。

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