ナッフィールド・オーガニゼーション

ナッフィールド・オーガニゼーションは、英国の自動車産業において重要な役割を果たした企業です。その歴史は、創業者であるウィリアム・モリス、初代ナッフィールド子爵の名にちなみ、1938年のライレー社の買収に始まります。この買収劇は、モーリス・モーター・カンパニーとMGカー・カンパニーとの合併へと繋がり、ナッフィールド・オーガニゼーションの基盤が築かれました。

第二次世界大戦下では、ナッフィールド・オーガニゼーションは英国軍への貢献に注力しました。主力製品であったモーリス車は軍用車両へと転換され、戦車のエンジン生産や、巡航戦車の開発・製造に携わっています。特に、リバティL-12エンジンは当時の英国軍戦車に搭載され、数々の戦場で活躍しました。

同社はMk.V カヴェナンター巡航戦車の生産も請け負いましたが、独自の技術開発にも力を注ぎ、クルセーダー巡航戦車などを開発。しかし、Mk.VII キャバリエ巡航戦車に搭載されたリバティエンジンは、車両重量に耐えきれず、実戦配備には至りませんでした。その後も、Mk.VIII セントー巡航戦車やMk.IX クロムウェル巡航戦車といった主力戦車の生産にも携わっています。

商用車の分野でも、モーリスC8 FATという砲兵トラクターを開発、生産しました。これはモーリスCS8という商用車をベースに、軍用車両として改良されたものです。このように、ナッフィールド・オーガニゼーションは、乗用車だけでなく、商用車、軍用車と幅広い分野でその技術力を発揮しました。

終戦後、1945年にはモーリス、ウーズレー、ライレーブランドでの自動車生産を再開。1948年には、Nuffield Universalというブランド名でトラクターの生産も再開し、多角経営を展開しました。

しかし、ナッフィールド・オーガニゼーションの独立経営は1952年まで続きました。同年、オースチン社との合併により、ブリティッシュ・モーター・コーポレーション（BMC）が誕生。この合併は、英国自動車産業における大きな転換点となりました。ナッフィールド・オーガニゼーションは、その歴史に幕を閉じますが、英国自動車産業、ひいては世界的な自動車史に大きな足跡を残したことは間違いありません。その技術力と多様な事業展開は、後の英国自動車産業の発展に多大な影響を与えたと言えるでしょう。

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