ナナンティウス

ナナンティウス (Nanantius)

ナナンティウスは、前期白亜紀のアルビアン期に存在した絶滅した鳥類の属で、オーストラリアに生息していたとされています。この鳥は、エナンティオルニス類に分類されることが多く、その特性については多くの研究が行われてきました。

標本と種

ナナンティウスの中で有効な種は、ナナンティウス・エオスの一つだけです。この種は1986年に初めて命名され、当初は不完全な化石のみが発見されていました。特に特徴的なのは、長い脛足根骨と頚椎です。これらはオーストラリアのクイーンズランド州ボウリアの Warra Station にて発見されたことが知られています。この発見によって、ナナンティウスという鳥類の存在が確認されました。

その後の研究で、1997年には同じ地域の Canary Station から追加の化石が見つかり、これもナナンティウスに分類されました。頚椎の一つはナナンティウス・エオスに帰属されましたが、他の骨は解剖学的な違いがあったため、ナナンティウス・エオスには含まれませんでした。

しかし、2009年の研究では、ナナンティウス・エオスの典型的な脛足根骨と頚椎の標本が失われたと報告されています。これにより、ナナンティウス・エオスはエナンティオルニス類の中でも特に情報が限られた種という評価を受けることになりました。

分類

ナナンティウス・エオスはエナンティオルニス類に位置付けられますが、このグループはK-Pg境界を生き延びることなく絶滅した原始的な鳥類です。ナナンティウスの脛足根骨の特徴だけではその分類を確定するには不十分な部分が多いことが指摘されています。他のより現代に近い鳥類、たとえばアプサラヴィスも、エナンティオルニス類に似た脛足根骨を持っているため、単純な分類は難しいとされています。そのため、ナナンティウスとエナンティオルニス類の類似性が示されていても、さらなる明確な証拠が発見されるまでその分類は仮定の段階にあるとも言えるでしょう。

生態

ナナンティウス・エオスは、クロウタドリと同程度の小型の鳥でした。この種は、羽毛のある獣脚類の恐竜に近い特徴を持つ頭部と首、および爪のある翼を持っていたと考えられています。その生態については、エロマンガ海の沿岸で海生無脊椎動物や小魚を捕食していた可能性が高いと推測されています。

さらに、ナナンティウス・エオスと考えられる脛足根骨が、魚竜プラティプテリギウス・アウストラリスの標本から発見されており、これによってナナンティウスが海鳥であったという説が強まっています。これらの発見は、ナナンティウスの生態を解明する手助けとなっており、今後の研究においても重要なポイントとなるでしょう。

ナナンティウスは、白亜紀前期における鳥類の進化や生態系を理解する上で欠かせない存在であり、その化石は今後の研究によってさらに多くのことを明らかにする可能性を秘めています。

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