ナヌチュカ型コルベット

ナヌチュカ型コルベット

ナヌチュカ型コルベット（Nanuchka class corvette）は、ソビエト連邦とロシア海軍における重要なミサイル艦艇であり、特に艦対艦ミサイルを主兵装とする世界初のコルベットとしてその名を知られています。この艦級は、NATOによってナヌチュカと名付けられていますが、ソ連海軍においては1234号計画型小型ミサイル艦という計画名で呼ばれています。

背景と開発

1950年代に入ると、ソ連海軍は侵入する西側の海洋軍に対抗し、近海での防衛を図る必要がありました。このため、従来の大型魚雷艇を改良し、新たに「大型ミサイル艇」という新しい艦種を開発することになりました。この艦艇は小型の船体に艦対艦ミサイルを搭載し、高速機動と強力な打撃力を持って、敵の輸送艦や揚陸艦を攻撃する哨戒艦として設計されました。

最初のコマール型ミサイル艇はP-6型魚雷艇の船体を流用したもので、その後、本格的なオーサ型ミサイル艇も計画されました。1960年代初頭、数多くの大型ミサイル艇が建造される中、その武装や防空力には限界があったため、さらに高機能な艦艇として小型ミサイル艦が構想されました。

ナヌチュカ型は、沿岸警備艦艇として初めて高度な防空ミサイルシステムと長射程の艦対艦ミサイルを搭載し、これにより対水上火力と防空能力が大幅に強化されています。ソ連海軍は、長射程と短射程の二種類の対艦ミサイルを整備する方針を採り、この艦艇は従来の短射程のP-15 テルミートに代わって、第2世代のP-120 マラヒートを搭載することによって、従来のミサイル艇を凌ぐ対水上火力を確保しました。

主な派生型

ナヌチュカ型にはいくつかの派生型が存在します。以下に主なものを紹介します：

• - ナヌチュカ-I型（1234号計画艦）: 原型艦で、ソ連海軍向けに17隻が建造され、1990年代まで運用されました。
• - ナヌチュカ-II型（1234E号計画艦）: 輸出用の艦で、艦対艦ミサイルが短射程のP-15へとダウングレードされています。
• - ナヌチュカ-III型（1234.1号計画艦）: I型を基にした改良型で、新たな主砲AK-176と近接防空用のAK-630を搭載し、合計18隻が建造され、現在もロシア海軍で運用されています。
• - ナヌチュカ-IV型（1234.7号計画艦）: 実験艦で、P-800 オーニクスを搭載しています。

実戦での役割

ナヌチュカ型コルベットは実戦経験も持ち、2008年の南オセチア紛争時にはアブハジア沖海戦でグルジア海軍の哨戒艇に対し、艦対艦ミサイルを発射し、敵艦を撃沈するという成果を上げました。この戦闘は冷戦後のロシア海軍にとって初の海戦であり、大きな意味を持っています。

採用国

ナヌチュカ型コルベットは、以下の国々で採用されています：

• - ソビエト連邦海軍 / ロシア海軍
• - インド海軍（ドゥルグ級コルベット）
• - リビア海軍
• - アルジェリア海軍

その結果、ナヌチュカ型はソ連海軍の戦力の重要な一部となり、様々な国際情勢においてその性能を発揮しています。

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