ナバロンの要塞 (映画)

『ナバロンの要塞』の概要

『ナバロンの要塞』は、1961年に発表されたイギリス・アメリカ合作映画で、原作はアリステア・マクリーンによる同名小説です。この作品は、1962年に行われた第34回アカデミー賞で特殊効果賞を受賞し、同年の第19回ゴールデングローブ賞でも作品賞（ドラマ部門）を獲得しました。また、音楽を担当したディミトリー・ティオムキンも同賞の音楽賞を受賞しました。映画はイーストマン・カラーで撮影され、シネマスコープで上映されました。

本作の続編として、1978年に『ナバロンの嵐』が公開されました。物語の舞台となるケロス島とナヴァロン島は架空のものですが、第二次世界大戦中のエーゲ海での実戦にインスパイアされています。

撮影と制作の背景

映画の撮影にあたっては、イギリス軍とともにギリシャ政府や地元の人々、さらにはギリシャ軍（陸海空軍）からも全面的に協力を得ました。冒頭のクレジットには、協力者への感謝のメッセージが含まれています。

製作・脚本を手掛けたカール・フォアマンは、過去の成功に後押しされて大物キャストを揃えましたが、キャスティングの変更がいくつかありました。キース・マロリー大尉役はケーリー・グラントとウィリアム・ホールデンの辞退の末、グレゴリー・ペックが承諾。一方、ミラー伍長役はディーン・マーティンからデヴィッド・ニーヴンに変更されました。

意外に思うかもしれませんが、戦闘シーン自体はあまり多くなく、むしろアクションと冒険の要素が強く含まれています。また、作品は「戦争と人間」というドラマの側面にも焦点を当てています。特に嵐のシーンは、特別な技術を用いて実現されました。巨大プールの中に船を配置し、油圧で動かしながら潜水夫が水流を吹きかけるという手法が採用されたのです。

あらすじ

物語は、1943年の第二次世界大戦中にギリシャのケロス島で孤立したイギリス軍の将兵たちから始まります。彼らは約2,000名おり、軍事的に重要な拠点ではありませんが、中立国であるトルコとの距離が近く、ナチス・ドイツがその部隊を全滅させようとする示威作戦を計画しています。

連合軍は、この情報を事前に掴み、部隊の撤退のために駆逐艦を派遣する準備を進めます。しかし、隣接するナバロン島にあるドイツ軍の要塞砲が海峡を見張っているため、まずはその破壊を計画します。航空攻撃を試みますが、要塞は頑丈で破壊には至らず、逆に多くの犠牲者を出します。このため、ジェンセン准将は特別作戦を立案し、少数の精鋭部隊を要塞に潜入させることになります。

フランクリン少佐が作戦を立案し、彼と共にマロリー大尉、化学の専門家ミラー伍長、レジスタンス闘士のスタブロウ大佐らが仲間に加わります。プロフェッショナルな面々が揃い、彼らは相互に信頼し合いながら任務に挑みますが、作戦は困難を極めていきます。

基礎的な困難から仲間の裏切りまで、数々の試練に直面する彼らの姿は、人間ドラマとしての側面を強調しています。最終的に彼らがどのようにして要塞を破壊するのか、そしてケロス島の運命がどうなるのかは、観客にとって注目すべきポイントになっています。

この映画は、アクションとドラマが見事に融合し、戦争の残酷さと人間の勇気を描いています。

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