ナフパクトス

ナフパクトス：歴史と戦略が交差するギリシャの港町

ナフパクトス（ギリシア語: Ναύπακτος）は、ギリシャ共和国の西ギリシャ地方、エトリア＝アカルナニア県に位置する都市です。行政上はナフパクティア市に属し、その中心地区として機能しています。コリンティアコス湾の入り口を抑える重要な地点であり、歴史的にも戦略的な要所として知られています。

名称の変遷

ナフパクトスは、その長い歴史の中で様々な名前で呼ばれてきました。日本語文献では、ナウパクトスと表記されることもあります。ラテン文字では、Nafpaktos、Navpaktos、Naupactosなどと綴られます。ラテン語名はナウパクトゥス (Naupactus)、トルコ語名はİnebahtıです。

古代の名称Naupaktos (Ναύπακτος)は、中世後期にはNepahtos (Νέπαχτος)やEpaktos(Έπακτος)、Epahtos (Έπαχτος)といった形に変化し、リンガフランカ（地中海地域で使われた共通語）ではNeopantやNepant、Lepantなどと呼ばれました。14世紀のフランス文献にはNepant、Neopant、ヴェネチア文献にはNepanto、Lepantoという記載が見られます。世界史に名高いレパントという名称は、これらの変遷を経て生まれたもので、現代でもイタリア語名はレパントです。

名称「レパント」（Lepanto）は、地中海東岸地方を指す「レバント」（Levant）と混同されることがありますが、両者に直接的な関係はありません。19世紀になり、ギリシャ政府によって古代の都市名が復古され、現在のナフパクトスという名称が用いられるようになりました。

地理的特徴

ナフパクトスは、コリンティアコス湾の北岸、パトライコス湾への海峡の入り口に位置しています。この地理的な特性から、古来より海軍戦略上の重要な拠点とされてきました。現在は、美しい海水浴場としても知られています。

歴史

ナフパクトスは、古代から様々な歴史的事件の舞台となってきました。紀元前220年には、スパルタ・アエトリア同盟軍とマケドニア軍が同盟市戦争を繰り広げましたが、紀元前217年には「ナウパクトスの講和」が結ばれ、現状維持という形で終結しました。

そして、ナフパクトスの歴史において最も重要な出来事の一つが、1571年に近海で起こったレパントの海戦です。この海戦は、オスマン帝国とキリスト教国連合艦隊との間で繰り広げられ、ヨーロッパの歴史に大きな影響を与えました。小説『ドン・キホーテ』の作者として知られるミゲル・デ・セルバンテスも、この戦いに従軍しました。そのため、ナフパクトスにはセルバンテスの銅像が建てられています。

姉妹都市

ナフパクトスは、イタリアのマリーノと姉妹都市提携を結んでいます。

ナフパクトスは、その美しい景観と豊かな歴史を通じて、訪れる人々を魅了し続けています。古代から中世、そして現代に至るまで、様々な物語が息づくこの地を訪れてみてはいかがでしょうか。

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