ナホム書

『ナホム書』は、旧約聖書に収められた預言書の一つで、ユダヤ教では「後の預言者」に、キリスト教では預言書に分類されています。キリスト教においては、十二小預言書の中で7番目に位置づけられています。全3章から成り、その内容はアッシリアの首都ニネベの滅亡に関する預言を中心としています。

著者

著者はナホムという名の預言者であるとされています。ナホムはエルコシュという出身地を持つ人物であると記されていますが、その詳細な生涯や人物像についてはほとんど知られていません。エルコシュについても、ユダの領内であったということ以上の情報はわかっていません。

成立時期

『ナホム書』の成立時期については、書中の記述から推測することができます。3章8～10節にエジプトのテーベの滅亡に関する記述があるため、この出来事（紀元前663年）以降に書かれたと考えられます。一方、2章にはニネベの陥落が預言されているため、この陥落（紀元前612年）よりも前に成立したとされています。したがって、『ナホム書』は紀元前663年から紀元前612年の間に書かれたと考えられています。

また、「ナホム」という名前には「慰める者」という意味があります。

構成

『ナホム書』は、全体として3つの章から構成されています。前半部分では、アッシリアからの解放をもたらした神への賛美の詩が綴られています。後半部分では、チグリス川沿いに位置するニネベの滅亡を宣告する預言が展開されます。ナホムの預言は非常に厳しく、その内容は同じく預言書である『ヨナ書』と比較されることもあります。

内容の詳細

『ナホム書』は、主にアッシリア帝国の首都であったニネベの滅亡を預言した書として知られています。預言者ナホムは、ニネベの人々の傲慢さと悪行を告発し、神の裁きが下ることを宣言します。神は正義であり、悪は必ず滅ぼされるという強いメッセージが、この書全体を通して語られています。

1章では、神の力と怒りが描かれ、神の支配が絶対的なものであることが示されます。2章では、ニネベの陥落が具体的に描写され、その悲惨な状況が語られます。3章では、ニネベの悪行と滅亡の理由がさらに詳しく述べられます。ナホムの預言は、アッシリア帝国に対する神の裁きとして実現し、その歴史的な出来事は、神の正義と力を示すものとして捉えられています。

関連事項

* ナホム

『ナホム書』は、預言文学の重要な一例であり、神の正義と裁きの概念を理解する上で重要な書物です。その短いながらも力強いメッセージは、現代においても多くの人々に影響を与えています。

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