ナランホ

ナランホ（Naranjo）

ナランホは、グアテマラのペテン県に位置する古代マヤの遺跡です。ベリーズ国境近くにあり、2004年以降はヤシュハ＝ナクム＝ナランホ国立公園の一部として保護されています。この公園内には、モレレットワニやメキシコカワガメなどの多様な生物が生息しており、2006年にはラムサール条約に登録されることで、その重要性が強調されました。

遺跡の概要

「ナランホ」という名前はスペイン語でオレンジの木を意味しますが、これは新しい名称です。先古典期以来存在するこの遺跡には、389の建物から成る6つのアクロポリスがあります。また、多くの石碑や祭壇、球戯場の彫刻が見られ、古代マヤの文化や歴史に触れることができます。しかし、1960年代から70年代にかけての略奪によって、多くの貴重な遺物が失われたため、現在のナランホの姿はその本来の美しさを損なっています。

ナランホの歴史

ナランホの歴史は、碑文によって断片的に明らかにされています。最も古い石碑は475年に遡り、当時の詳細は分かりません。最初に名前が残されている34代目の王はアフ・ウォサルで、546年に即位しました。彼は若いうちに王位につき、その後69年以上にわたり統治しました。しかし次の王の時代、626年には南のカラコルに征服され、その後631年にはカラクムルに支配されてしまいました。680年には、37代目の王がカラコルを打破し、ナランホの支配権を再び取り戻しました。

682年には、ドス・ピラス初代王の娘「ワク・チャニル・アハウ」がナランホに新たな王朝を樹立しました。彼女は自身は王ではなかったものの、実質的な支配者として君臨し、彼女の子供がこの王朝の王として即位しました。しかし744年にティカル王による侵攻を受け、王が殺害される悲劇が起こります。その後のナランホの歴史は明確ではありませんが、780年頃にはイツァムナーフ・カウィールが即位し、近隣エリアを征服しました。ナランホも多くの他のマヤ都市同様、830年ごろに滅亡の道を辿ります。

再発見と略奪の歴史

ナランホ遺跡は1905年にテオベルト・マーラーによって再発見され、その後シルヴェイナス・モーリーによる詳細な調査が行われました。ところが、古代の遺物は早くから盗まれており、特に1964年以降はその略奪が激化しました。略奪者たちは大きな遺物を切り刻んで運搬し、遺跡は悲惨な状況に陥りました。1966年には、イアン・グレアムがナランホの石碑8号がロサンゼルスのデパートに展示されていることを発見し、衝撃を受けました。

ナランホの歴史は途切れ途切れですが、その文化的遺産を理解することは古代マヤの王国の複雑さを知る手助けとなります。特に、近年の保護活動が進む中、ナランホの遺跡はその歴史的価値を再評価され、多くの研究者にとって重要な関心の対象となっています。

もう一度検索